セッション情報 一般演題

タイトル 49:

アミロイドーシスの経過中に膵石の増悪をきたし重症急性膵炎を発症した1例

演者 山西 浩文(社会保険紀南病院 消化器科 )
共同演者 早川 隆洋(社会保険紀南病院 内科), 谷口 文崇(社会保険紀南病院 消化器科 ), 小原 俊央(社会保険紀南病院 消化器科 ), 佐原 裕之(社会保険紀南病院 消化器科 ), 木村 りつ子(社会保険紀南病院 消化器科 ), 中野 好夫(社会保険紀南病院 内科)
抄録 症例は87歳、女性。主訴は食欲不振、嘔吐。2010年5月に貧血精査目的で行った下部消化管内視鏡検査で回腸末端の多発性潰瘍を指摘され、同潰瘍からの生検でアミロイド沈着を指摘されている。また、2011年8月に上部消化管内視鏡検査で十二指腸から生検を行ったところ粘膜下層の血管へのアミロイド沈着がみられ、アミロイドーシスと診断されている。2013年4月上旬より食欲不振、嘔吐がみられ近医を受診した。白血球数、CRPの上昇あり精査目的で当院を紹介受診した。血液検査で膵酵素の上昇、腹部造影CT検査で膵腫大、膵体尾部を中心とした浸出液貯留、結腸間膜根部までの炎症波及と膵尾部の膵石がみられたため急性膵炎と診断され当院に入院となった。重症度判定基準では予後因子3点、造影CT Grade1点で重症急性膵炎と診断し、十分な初期輸液と共にメロペネム、メシル酸ナファモスタットの投与を行った。状態が改善した後に行った心エコー検査では心筋肥厚、尿検査でネフローゼ症候群がみられ心アミロイドーシス、腎アミロイドーシスが疑われた。十二指腸の生検検体を用いて免疫組織化学染色法で検討したところAAアミロイドーシスであった。急性膵炎の原因としては飲酒歴、総胆管結石、著明な高トリグリセリド血症なく、IgG4、各種ウイルスマーカーは陰性であった。2010年5月と比較して2013年4月のCTでは膵石が増加しており、膵尾部に約11mmの膵石がみられた。MRCPで膵尾部の膵石より尾側の膵管拡張がみられたことから、膵石による閉塞性膵炎が疑われた。アミロイドーシスに伴う急性膵炎の原因としてアミロイド沈着に伴う血流障害や主乳頭括約筋機能不全が報告されている。本症例ではこれらの機序が膵石の形成及び急性膵炎発症に関与した可能性があると考えられた。
索引用語 アミロイドーシス, 膵炎