セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年迄) |
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タイトル | Y1-05:食道静脈瘤破裂を契機に発見された第V因子欠乏を合併した重症型アルコール性肝炎の1例 |
演者 | 倉橋 知英(市立池田病院 消化器内科) |
共同演者 | 澤井 良之(市立池田病院 消化器内科), 小来田 幸世(市立池田病院 消化器内科), 井倉 技(市立池田病院 消化器内科), 福田 和人(市立池田病院 消化器内科), 卜部 彩子(市立池田病院 消化器内科), 大西 孝典(市立池田病院 消化器内科), 八木 麻衣(市立池田病院 消化器内科), 今井 康陽(市立池田病院 消化器内科) |
抄録 | 重症型アルコール性肝炎は常習飲酒家で大量飲酒後に発症する救命率の低い肝炎である。肝性脳症、急性腎不全、凝固能低下による出血傾向など多彩な症状を呈し、併存症の存在が分かりにくくなるため、診断・治療には注意が必要となる。今回、我々は、食道静脈瘤破裂を契機に受診された重症型アルコール性肝炎に対してステロイド投与を行い救命しえたが、凝固能低下が遷延し、精査の結果第V因子欠乏症と診断した1例を経験したので報告する。【症例】50歳台女性。既往歴:40歳台 アルコール依存症。【現病歴】2011年10月黒色便、吐血で当院受診。緊急上部消化管内視鏡検査にてRC sign陽性の食道静脈瘤を認め、内視鏡的静脈瘤結紮術を施行後、入院となった。【血液検査】Hb 5.8g/dL、Plt 18.3万/μL、WBC 21000/μL、CRP 18.6mg/dL、T-Bil 6.9mg/dL、D-Bil 4.2mg/dL、Alb 2.1g/dL、AST 260IU/mL、ALT 55IU、ALP 284IU/L、γ-GTP 336IU/L、BUN 15mg/dL、Cre 1.37mg/dL、PT(%) 33.0%。入院時MELD score 23、重症型アルコール性肝炎予後予測式からの予測死亡率:85.1%。【画像検査所見】腹部エコー、CT上、脂肪肝、肝脾腫あり。【経過】全身管理と並行してPSL 40mg/日投与開始した。徐々にPSL減量し、5か月目でPSL終了した。肝機能障害等は改善傾向が続いていたが、凝固能低下が遷延していた。追加の病歴聴取から、断酒していた分娩時に多量の出血を認めたとの病歴があり、各種凝固因子活性等精査した結果、第V因子欠乏症と診断した。出血傾向出現時や、出血低危険度内視鏡施行時にFFP投与を併用し、経過良好である。【結語】食道静脈瘤破裂を契機に受診された重症型アルコール性肝炎に対してステロイド投与を行い救命しえたが、凝固能低下が遷延し、精査の結果第V因子欠乏症と診断した1例を経験した。 |
索引用語 | アルコール性肝炎, 第V因子欠乏症 |