セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F1-01:

内視鏡的に治癒過程を追うことができた特発性食道破裂の1例

演者 青木 雅彦(大阪医科大学 第2内科)
共同演者 太田 和寛(大阪医科大学 第2内科), 原田 智(大阪医科大学 第2内科), 江戸川 祥子(大阪医科大学 第2内科), 竹内 利寿(大阪医科大学 第2内科), 梅垣 英次(大阪医科大学 第2内科), 平井 あい(第一東和会病院 消化器内科), 井上 陽介(第一東和会病院 消化器内科), 中村 憲(第一東和会病院 消化器内科), 時岡 聡(大阪医科大学 第2内科DELIMITER第一東和会病院 消化器内科), 樋口 和秀(大阪医科大学 第2内科)
抄録 症例は60歳代の男性。大量飲酒後に嘔吐した翌日に、胃痛と嚥下困難が出現したため受診した。逆流性食道炎を疑い上部消化管内視鏡検査(EGD)を施行したところ、胸部下部食道から胃体上部小彎まで粘膜の色調が暗赤色に変化していた。この色調変化を来たした部位に一致して、食道壁は壁外性に圧排され、さらに胸部下部食道9時方向に縦走する粘膜裂傷が認められた。胸部造影CTでは、EGDで壁外性圧排が認められた後縦隔に、血腫と思われる8cmの占拠性病変と左胸水が認められた。以上より特発性食道破裂に縦隔血腫を併発したものと診断し入院となった。入院時、軽度嚥下困難感は認めるもののvital signおよび血液生化学検査に異常なく、まず保存的加療を行うこととした。第5病日に自覚症状は消失し、同日のCTにて血腫は縮小を認めた。EGDでは食道の色調は正常となり、壁外性圧排も改善していた。胸部下部食道の粘膜裂創部分は、打ち抜き様潰瘍となっており、陥凹底は肉芽組織に覆われつつあり、縦隔との交通も確認できなかった。第28病日のEGDでは、陥凹部は肉芽と再生上皮でほぼ平坦化しており、CTでは血腫は明らかに縮小していた。経口摂取を開始したが増悪なく、第51病日に退院とした。発症69日目のEGDでは、胸部下部食道の粘膜裂創部は縦走性の線状瘢痕となっていた。特発性食道破裂は稀な疾患であり、緊急手術となる場合が多いが、自験例は保存的に治療し得た。その治癒過程を内視鏡的に追うことができたため、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 特発性食道破裂, 後縦隔血腫