セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 20:大網由来の巨大脂肪肉腫の一例 |
演者 | 田辺 理惠(彦根市立病院 内科) |
共同演者 | 杉谷 義彦(彦根市立病院 内科), 永岡 真(彦根市立病院 内科), 仲原 民夫(彦根市立病院 内科), 來住 優輝(彦根市立病院 内科) |
抄録 | 【症例】61歳女性【現病歴】高血圧症のため当院循環器科通院中。2013年1月中旬から左季肋部違和感を自覚。2月に施行された腹部エコーにて肝左葉に接する高エコーを示す巨大病変があり、内部に一部低エコーが混在する乏血性病変であった。CTでは腫瘍へ向かう脾動脈・左下横隔膜動脈からの分枝を認め、腫瘍はhypovascular tumorであった。MRIではT1強調像にて低信号、T2強調像にて高信号、脂肪抑制T2強調像にて高信号を示す長径17cmの分葉状腫瘤であったが、周辺臓器との連続性は不明瞭であった。また左副腎にはT2強調にて軽度高信号、早期濃染を示す2.5cm大の腫瘤を認めたことから腺腫・転移の可能性を考えた。CEA・CA19-9・sIL-2は正常、またPET-CTでは巨大腫瘍への集積は乏しかったが、画像所見から脂肪肉腫を疑い、外科的治療を選択した。術中所見は約20cm大の被膜に覆われた境界明瞭な腫瘤を認め、大網と連続していた。胃体上部大弯とは広範囲に癒着していたが、明らかな浸潤傾向は認めなかった。左副腎については明らかな浸潤傾向は認められず、境界明瞭で容易に剥離された。病理診断では260×130×80mm大の大網由来高分化型脂肪肉腫であった。副腎に関しては当初脂肪肉腫からの転移も鑑別に挙げていたが、褐色細胞腫であった。術後7ヶ月経過しているが、再発・転移の所見はない。【考察】脂肪肉腫は悪性軟部腫瘍の5-30%を占めるが、大網・腸間膜が原発となることは稀である。原発性大網腫瘍の中では平滑筋肉腫が最も多く、他に悪性中皮腫・悪性線維性組織球腫、脂肪肉腫などがある。超音波検査・CT・MRIでは存在診断や病変の広がりの診断には有用であるが、質的診断や原発部位の特定は困難である。脂肪肉腫は被膜外浸潤により局所再発することがあるため、拡大切除が必要である。根治的完全切除率は12-32%と低く、多くが3年以内に再発し、予後はきわめて不良である。大網原発脂肪肉腫は本邦における過去の報告は20例と少ない。非常に稀な症例を経験したと共に、本症例では原発巣の術前診断は付かず、褐色細胞腫も認めたことから診断に難渋したため報告する。 |
索引用語 | 大網原発, 脂肪肉腫 |