セッション情報 一般演題

タイトル 24:

ITPとシェーグレン症候群を合併した自己免疫性肝炎の1例

演者 吉井 純一(平成記念病院 内科)
共同演者 吉治 仁志(奈良県立医科大学 第三内科), 野口 隆一(奈良県立医科大学 第三内科), 堂原 彰敏(奈良県立医科大学 第三内科), 西村 義明(平成記念病院 内科), 福井 博(奈良県立医科大学 第三内科)
抄録 【症例】62歳女性。
【主訴】顕性黄疸。
【現病歴】黄疸を自覚して平成25年8月26日当科を受診した。初診時、著明な全身皮膚黄染を認め腹部は軽度膨満しているものの、皮下出血などは認めなかった。初診時の採血で血小板0.8万/μL、T-Bil 11.1mg/dL、AST 990IU/L、ALT 469IU/Lであり、同日緊急入院となった。
【経過】入院後の検査では、HBsAg(-)、HCV-Ab(-)、IgG 3112mg/dL、IgA 814mg/dL、IgM 293mg/dL、抗核抗体640倍、抗ミトコンドリア抗体(-)、PAIgG 680ng/107cells、抗Helicobactor pylori(以下HP)IgG抗体 30U/mL、抗SS-A抗体>256倍、抗SS-B抗体 8倍であった。腹部造影CTで少量の腹水と脾腫および肝門部の多数のリンパ節腫大を認めるものの、肝内胆管や総胆管の拡張はなかった。自己免疫性肝炎(以下AIH)、特発性血小板減少性紫斑病(以下ITP)、シェーグレン症候群(以下SjS)の合併と考え、9月3日からメチルプレドニゾロン500mg/日の点滴静注を3日間行い、その後プレドニゾロン30mg/日の経口投与を開始した。9月9日にはAST 124IU/L、ALT 129IU/Lまでトランスアミラーゼは改善したが、血小板は1.2万/μLと低値であった。引き続いて9月10日からHP除菌療法を行ったところ、10月12日には血小板が8.6万/μLまで増加した。血小板数が増加し、生検可能と考え唾液腺生検を施行し、導管周囲に50個以上のリンパ球浸潤を示すfociが4mm2あたり2~3箇所観察され、SjSと診断、さらに肝生検にてinterface肝炎、リンパ球形質細胞優位な浸潤、肝細胞ロゼット形成が認められ、AIHと診断した。なお、骨髄穿刺ではITPを否定する所見を認めなかった。
【考察】本症例は、HP除菌による血小板増加により各種生検が可能となり診断し得た。我々の検索した限りAIH、ITP、SjSの合併は極めてまれであり、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 自己免疫性肝炎, H.pylori除菌