セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F3-09:

造影CTが診断に有用であったFitz-Hugh-Curtis症候群の1例

演者 丸尾 理沙(大手前病院 消化器内科)
共同演者 坂谷 彰彦(大手前病院 消化器内科), 笹井 保孝(大手前病院 消化器内科), 西田 直浩(大手前病院 消化器内科), 阪本 めぐみ(大手前病院 消化器内科), 上ノ山 直人(大手前病院 消化器内科), 北山 聡明(大手前病院 放射線科), 木下 和郎(大手前病院 消化器内科), 土井 喜宣(大手前病院 消化器内科)
抄録 【緒言】Fitz-Hugh-Curtis症候群は骨盤内感染症が上行性拡大を来たすことで生じる肝周囲炎であり、若年女性の急性腹症では本症を鑑別に挙げる必要がある。しかしながら診断に有用な検査手段が少なく、そのため診断は一般に困難とされている。【症例】20歳代女性【現病歴】当院受診1週間前から右下腹部痛が持続していたが来院当日になり腹痛の程度が増強したことから当院救急外来を搬送受診した。【身体所見】腹部は平坦、軟であったが右下腹部に強い圧痛と反跳痛を認めた。【主な検査所見】末梢血、生化学検査では白血球数12040/mm3、CRP 5.54mg/dlと炎症所見の上昇を認めたが腹痛の原因は不明であった。そこで腹部造影CT検査を施行したところ動脈相で肝被膜に沿って層状の濃染像が見られたことから肝周囲炎を疑った。【経過】婦人科に紹介したところ子宮及び付属器に圧痛・可動痛を認めたことから骨盤腹膜炎と診断され、画像検査所見と併せてFitz-Hugh-Curtis症候群と診断した。治療としてセフメタゾール1日2gの経静脈投与を行ったところ炎症所見はすみやかに改善し入院5日目に独歩で退院となった。【考察】近年Fitz-Hugh-Curtis症候群の急性期診断における造影CT検査の有用性が相次いで報告され、その所見として早期相で肝被膜下に観察される濃染像が注目されている。FHCSによる肝周囲炎は腹膜から波及した滲出性炎症で、本所見は肝被膜の血流増加を反映していると考えられている。自験例ではこのCT所見を踏まえて受診後早期にFitz-Hugh-Curtis症候群と診断し治療介入することにより短期間で症状の改善を得ることができた。【結語】今回我々は造影CTが診断に有用であったFitz-Hugh-Curtis症候群の1例を経験したので若干の文献的考察を交えて報告する。
索引用語 肝疾患, Fitz-Hugh-Curtis症候群