セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年迄) |
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タイトル | Y6-08:大量出血を来した宿便性潰瘍の1例 |
演者 | 原 あずさ(北摂総合病院 消化器内科 ) |
共同演者 | 佐野村 誠(北摂総合病院 消化器内科 ), 原 美紀(北摂総合病院 消化器内科 ), 西川 知宏(北摂総合病院 消化器内科 ), 吉田 紘子(北摂総合病院 消化器内科 ), 中 悠(北摂総合病院 消化器内科 ), 西谷 仁(北摂総合病院 消化器内科 ), 佐々木 有一(北摂総合病院 消化器内科 ), 森川 浩志(森川クリニック), 樋口 和秀(大阪医科大学附属病院 第2内科) |
抄録 | 【症例】82歳、女性【主訴】血便【既往】胆嚢摘出・子宮癌術後【現病歴】元来便秘傾向であり自己で浣腸をおこなうことが頻回にあった。今回浣腸後に血便を認め、出血が続くため当科外来を受診し精査加療目的に入院となった。入院翌日に大腸内視鏡検査を施行したところ、直腸Ra-bにほぼ全周性の潰瘍を認め、潰瘍底には広範に黒色の壊死物質が付着していた。腹部造影CT検査では直腸壁の造影効果を伴う壁肥厚を認め、直腸潰瘍の炎症によるものと考えられた。便秘傾向の高齢女性で浣腸後に血便で発症していることから、宿便性潰瘍が浣腸の機械的刺激により出血を来したと考えた。大腸内視鏡検査時にはすでに自然止血されており、止血術は行わず経過観察する方針とした。翌日、再び出血性ショックを伴う暗赤色の血便を認めたため、大腸内視鏡検査を施行した。直腸に多量の暗赤色の凝血塊が貯留していたが、潰瘍底は厚い壊死物質で覆われ、明らかな出血源は特定することはできなかった。絶食・腸管安静・排便コントロール・輸血をおこない保存的に経過観察したところ以後は再出血はなく、後日の大腸内視鏡検査でも潰瘍は縮小傾向であったため退院となった。今回我々は、便秘症を有する高齢者の血便で発症した宿便性潰瘍を経験した。宿便性潰瘍は慢性便秘が原因といわれ、腸管内に停滞した糞便塊が粘膜を圧迫し、血流障害を来たすことにより発生する褥瘡潰瘍である。本例は広範な潰瘍で止血を確認した翌日にも再出血をおこしたが、厚い壊死物質のために出血源は特定することはできず、保存的に加療を行い潰瘍は縮小傾向を示した。高齢者の血便の際には宿便性潰瘍からの出血を考慮し、経過の中で出血性ショックなど重篤な出血を来す場合があり注意が必要であると考えられたため報告する。 |
索引用語 | 宿便性潰瘍, 血便 |