セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 30:縦隔・皮下気腫を合併した重症潰瘍性大腸炎の1例と本邦報告例の文献的考察 |
演者 | 寺崎 慶(京都第一赤十字病院消化器内科) |
共同演者 | 奥山 祐右(京都第一赤十字病院消化器内科), 太田 崇之(京都第一赤十字病院消化器内科), 松村 晋矢(京都第一赤十字病院消化器内科), 吉田 寿一郎(京都第一赤十字病院消化器内科), 陶山 遥介(京都第一赤十字病院消化器内科), 豊川 優季(京都第一赤十字病院消化器内科), 中野 貴博(京都第一赤十字病院消化器内科), 川上 巧(京都第一赤十字病院消化器内科), 山田 真也(京都第一赤十字病院消化器内科), 鈴木 隆裕(京都第一赤十字病院消化器内科), 世古口 悟(京都第一赤十字病院消化器内科), 戸祭 直也(京都第一赤十字病院消化器内科), 中村 英樹(京都第一赤十字病院消化器内科), 佐藤 秀樹(京都第一赤十字病院消化器内科), 木村 浩之(京都第一赤十字病院消化器内科), 吉田 憲正(京都第一赤十字病院消化器内科), 上島 康生(京都第一赤十字病院呼吸器外科) |
抄録 | 【症例】17歳男性【主訴】 粘血便 【既往歴】【家族歴】特記すべきことなし【現病歴】約2ヵ月前から徐々に増悪する粘血便が改善しないため近医を受診し、大腸内視鏡を受け、全大腸炎型の潰瘍性大腸炎と診断された。経口5-ASA製剤3600mg /日を内服するも改善なく、入院の後、中心静脈栄養、プレドニゾロン経口40mg/日による追加治療を開始された。約1週間の治療にて臨床的症状の改善が乏しく、重症度分類にて重症と診断され、当科へ転院となった。転院時の血液検査では白血球18560/mm3 、ヘモグロビン7.1g/dl、アルブミン1.7g/dl、CRP4.8mg/dl、赤沈70mm/1h、また 胸腹部造影CTにて、全大腸の壁肥厚を認めるとともに、上縦隔に軽度の気腫を認めた。縦隔気腫に関して、前医にて施行された上部消化管内視鏡に続発した可能性は低く、感染の合併はないと判断し、追加治療としてタクロリムス内服治療を開始した。縦隔・頸部気腫は徐々に増悪、頸部の握雪感が出現し、第20病日に施行した胸部CTでは縦隔気腫が心臓、大血管を圧迫する程度まで拡大し、呼吸困難感も出現した。気腫の発症要因については原因を特定できず、特発性縦隔・皮下気腫と診断し、呼吸器外科との協議のもと経皮的ドレナージ術も検討したが、易感染状態を考慮し保存的に原疾患治療を継続した。第32病日、腹部症状の安定に伴い、気腫に伴う臨床症状、画像所見も改善を示したため、ステロイド、タクロリムスを漸減し第50病日退院となった。【考察】特発性縦隔・皮下気腫は、外傷や外科的処置、胸腔内感染症を伴わず、急激に肺胞内圧が上昇し、破れ出た空気が縦隔や皮下へ漏出した病態である。原疾患による低栄養やステロイド治療によって肺胞上皮と間質組織の脆弱化したことや、腹部の疼痛による息こらえが胸腔内圧上昇、肺胞内圧上昇に繋がり、縦隔・皮下へ空気が逸脱したことが本症例における気腫を併発した要因と考えられた。炎症性腸疾患に合併した特発性縦隔・皮下気腫の症例について、本邦での報告例について文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, 特発性縦隔気腫 |