セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y1-06:

ステロイド投与により肝組織像の改善をみた肝サルコイドーシスの1症例

演者 石田 光志(奈良県立医科大学第3内科(消化器・内分泌代謝内科))
共同演者 美登路 昭(奈良県立医科大学第3内科(消化器・内分泌代謝内科)), 堂原 彰敏(奈良県立医科大学第3内科(消化器・内分泌代謝内科)), 辻 裕樹(奈良県立医科大学第3内科(消化器・内分泌代謝内科)), 中村 麻衣子(奈良県立医科大学第3内科(消化器・内分泌代謝内科)), 関 建一郎(奈良県立医科大学第3内科(消化器・内分泌代謝内科)), 上嶋 昌和(奈良県立医科大学第3内科(消化器・内分泌代謝内科)), 守屋 圭(奈良県立医科大学第3内科(消化器・内分泌代謝内科)), 吉田 太之(奈良県立医科大学第3内科(消化器・内分泌代謝内科)), 吉治 仁志(奈良県立医科大学第3内科(消化器・内分泌代謝内科)), 福井 博(奈良県立医科大学第3内科(消化器・内分泌代謝内科))
抄録 【症例】38歳男性【現病歴】2007年に視力障害を主訴に当院眼科を受診。サルコイドーシスによるブドウ膜炎と診断され、同年5月からプレドニゾロン(PSL)40mgを1年間投与された。肺病変もあり、当院呼吸器内科にてフォローされていたが、眼科初診時より肝機能障害が持続するため、2009年に当科に紹介された。2010年1月に肝生検を施行し、非乾酪性類上皮肉芽腫を認め、肝サルコイドーシスとして矛盾のない所見であった。ウルソデオキシコール酸(UDCA)600mg/dayの内服を開始したが、肝機能障害と線維化マーカー高値が持続するため、PSL投与の要否判断の目的で2013年4月に再度肝生検を施行した。2010年に比し、組織学的に線維化の増悪を認めたため、PSL導入目的に2013年6月当科入院となる。【既往歴】特記すべきものなし【入院時検査所見】WBC 5300/μl、RBC 462万/μl、PLT 16.4万/μl、AST 46U/L、ALT 49 U/L、γ-GTP 181 U/L、ALP 950 U/L、T-Bil 1.2 mg/dl、PT 71%、P-3-P 0.9 U/ml、IV型コラーゲン7S 9.4 ng/ml、ヒアルロン酸 129.7 ng/ml、ACE 41.1 U/L、腹部CT:肝脾腫【経過】2013年7月からPSL30mg/day(内服)を2週間投与後、17週間かけて漸減し、5mg/dayを維持量とした。経過中、併用投与したバクタ®、エソメプラゾールによると思われるAST/ALTの上昇を認めたが、胆道系酵素、ZTT、線維化マーカーおよびACEは減少し、胸腹部CTでは肝脾腫、さらに肺病変も改善した。胆道系酵素や線維化マーカーの改善に比し、transaminaseの上昇が遷延するため、9月に3回目の肝生検を施行したが、肝線維化や小葉内の炎症細胞浸潤は軽減していた。【考察】肝サルコイドーシスに対するステロイドの適応に関しては一定の見解が得られていないのが現状である。今回我々は、肝サルコイドーシスに対してステロイド投与を行い、線維化の改善を組織学的に確認できた貴重な症例を経験したので報告する。
索引用語 肝サルコイドーシス, ステロイド