セッション情報 シンポジウム「メタボリックシンドロームと肝胆膵疾患」

タイトル S-01:

腹部超音波検診受診者におけるメタボリックシンドロームと胆嚢疾患との関連

演者 三浦 翔(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科)
共同演者 松井 佐織(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 菅原 悦子(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 藤田 剛(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科)
抄録 【目的】メタボリックシンドロームと胆嚢ポリープや胆石症との関連が報告されているが、本邦からの報告は少ない。今回我々は超音波検診受診者におけるメタボリックシンドロームと胆嚢疾患との関連を明らかにすることを目的とした。【方法】2012年10月から2013年3月に当院のドックを受診し腹部超音波検査を行った40歳以上の受診者のうち、特定健診にてメタボリックシンドロームと診断された230名(男性202名、女性28名、平均年齢51.4歳)を対象症例(メタボリックシンドローム群:MS群)として、ケース・コントロールスタディを行った。コントロール群は、特定健診でメタボリックシンドロームおよび予備群に該当しなかった受診者のうちで、年齢、性別、身長をマッチングさせた460名とした。腹部超音波検査所見としては、脂肪肝の有無、胆のうポリープの有無、胆石の有無を調査し、MS群とコントロール群で比較した。【成績】MS群での脂肪肝の頻度は89.6%、コントロール群での頻度は37.4%であり有意差を認めた(p<0.0001)。胆嚢ポリープについてはMS群で30%、コントロール群で29.3%であり有意差を認めなかった(p=0.86)。男女別での検討でも有意差を認めなかった(男性:31.2% 対 30%, p=0.78、女性:21.4% 対 25%, p=0.79)。胆石についてもMS群で4.8%、コントロール群で4.1%であり有意差を認めなかった(p=0.70)。男女別での検討でも有意差を認めなかった(男性:5.4% 対 3.7%, p=0.39、女性:0% 対 7.1%, p=0.30)。MS群における胆嚢ポリープの有無に関連する臨床的特徴の検討では、血清コリンエステラーゼ値とに有意な関連を認め、胆嚢ポリープがある場合有意に高値であった(403.8 U/L対 384.9 U/L, p=0.047)。また、MS群における胆石の有無に関連する臨床的特徴の検討では、eGFRの値とに有意な関連を認め、胆石がある場合有意に低値あった(69.2 mL/分/1.73m2対 77.6 mL/分/1.73m2, p=0.043)。【結論】今回のケース・コントロールスタディでは、メタボリックシンドロームと胆嚢ポリープ、および胆石とに有意な関連は証明されなかった。
索引用語 メタボリックシンドローム, 胆嚢疾患