セッション情報 シンポジウム「メタボリックシンドロームと肝胆膵疾患」

タイトル S-07:

生活習慣病・メタボリックシンドロームとNAFLD/NASH

演者 関 耕次郎(大阪府済生会 吹田病院)
共同演者 島 俊英(大阪府済生会 吹田病院), 水野 雅之(大阪府済生会 吹田病院), 岡上 武(大阪府済生会 吹田病院)
抄録 【目的】生活習慣病である肥満、糖尿病(DM)、高血圧(HT)、脂質異常症(DL)や、メタボリックシンドローム(MS)が、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を含む非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の発症および線維化進展に及ぼす影響については、未だ完全には明らかにされていない。今回、肥満、DM、HT、DLの合併やMSの有無が NASHの発症・進展に及ぼす影響について検討した。【対象および方法】当院で2007 - 2012年の期間に肝生検でNAFLDと診断した550症例(男性:284例、平均年齢52歳、女性:266例、62歳)を対象とした。男女別に、肥満、DM、HT、DLの合併有無やMSの有無によるNAFLD症例におけるNASHの割合、さらにNASH症例における線維化進展の割合を比較検討した。【成績】1)NAFLD症例における肥満、DM、HT、DLの合併者およびMS該当者は、男性でそれぞれ73%, 44%, 57%, 83%, 65%で、女性で66%, 53%, 76%, 80%, 66%であり、高率であった。また、NASH症例におけるMS該当者は、男72%, 女67%であった。2)男性NAFLD症例におけるNASHの割合は、肥満、DM、HT、DL、MSの無し・有りで、それぞれ53%:59%, 48%:69%, 46%:65%, 50%:60%, 45%:64%であり、DM,HTおよびMS有りにおいて有意にNASHが高率であった。女性においてNASHの割合は、それぞれ77%:78%, 77%:78%, 75%:78%, 83%:76%, 77%:79%であり、合併有無にかかわらず、高率であった。3)男性NASH症例におけるBrunt分類stage 3以上の線維化進展例の割合は、肥満、DM、HT、DL、MSの無し・有りで、34%:25%, 24%:30%, 18%:31%, 17%:28%, 22%:29%であり、合併有りで高率の傾向を認めたが、有意差は認めなかった。女性において線維化進展例の割合は、それぞれ28%:28%, 20%:34%, 23%:29%, 37%:26%, 26%:30%であり、DM有りで有意に線維化進展例が高率であった。【結論】心血管病の易発症状態であるMSはNASH/NAFLDの重要な病因であるが、今回の検討では、NAFLD症例、NASH症例において、MS該当者は60-70%であった。MS該当者は、他の生活習慣病合併者と同様に、NASHの割合や線維化進展の割合が高くなる傾向を認めた。
索引用語 メタボリックシンドローム, NAFLD