セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y7-04:

Winslow孔ヘルニアの一例

演者 平松 由紀子(兵庫県立尼崎病院 消化器病センター 消化器内科)
共同演者 長尾 宗政(兵庫県立尼崎病院 消化器病センター 消化器内科), 正木 翔(兵庫県立尼崎病院 消化器病センター 消化器内科), 北村 悟(兵庫県立尼崎病院 消化器病センター 消化器内科), 中井 敦史(兵庫県立尼崎病院 消化器病センター 消化器内科), 山崎 友裕(兵庫県立尼崎病院 消化器病センター 消化器内科), 菱谷 英里子(兵庫県立尼崎病院 消化器病センター 消化器内科), 増尾 謙志(兵庫県立尼崎病院 消化器病センター 消化器内科), 野本 大介(兵庫県立尼崎病院 消化器病センター 消化器内科), 梅田 誠(兵庫県立尼崎病院 消化器病センター 消化器内科), 川崎 公男(兵庫県立尼崎病院 消化器病センター 消化器内科), 松村 毅(兵庫県立尼崎病院 消化器病センター 消化器内科), 斉田 宏(兵庫県立尼崎病院 消化器病センター 消化器内科), 木村 利幸(兵庫県立尼崎病院 消化器病センター 消化器内科)
抄録 【症例】41歳女性 【主訴】腹痛 【既往歴】帝王切開 【生活歴】喫煙:なし 飲酒:なし 【現病歴】生来健康。突然の右下腹部痛、嘔気を認めたため受診 【血液検査】WBC 15200/ml、CRP 0.02mg/dl、LDH 185IU/l、CPK 45IU/l、pH 7.389 【CT】両側卵巣嚢腫あり。虫垂腫大、腸管拡張なし 【経過】入院以降、腹痛は右季肋部から心窩部周囲に移動し、左側臥位で症状の緩和を認めた。入院翌日、現病歴、CT所見、比較的若い成人であることから内ヘルニアを疑い造影CTを施行したところ、網嚢内に小腸を認め、口側小腸の拡張、腸液貯留を認めた。Winslow孔ヘルニアと診断。腹部症状の改善に乏しいこと、白血球上昇からWinslow孔ヘルニアの嵌頓、腸管壊死の可能性を考慮し腹腔鏡下内ヘルニア修復術を施行した。腹腔内には少量の漿液性腹水貯留と拡張した小腸を認めた。Winslow孔から網嚢内に小腸の一部が嵌頓し、網嚢内の小腸の一部に血色不良を認めた。愛護的に修復したところ、血色不良を認めた小腸への血流が確認された。上行結腸の固定不良を認め、Winslow孔周囲では胆嚢と後腹膜は癒着しWinslow孔に向かってスロープを形成したため、再発予防目的にて癒着剥離を行ったがWinslow孔は閉鎖しなかった。術後、再発なく経過している。 【考察】内ヘルニアの多くは小さく、容易に還納されるため無症状のことが多いが、0.5~3%で腸閉塞の原因となり、死亡率も高い。性差はなく、比較的若年に多い。Winslow孔ヘルニアは内ヘルニアの約8%を占める。原因としては上行結腸の固定不良、Winslow孔の拡大、腹圧の上昇等が挙げられる。本症例のように突然の激しい腹痛で発症することがある。Winslow孔ヘルニアの一例を経験したため若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 内ヘルニア, イレウス