共同演者 |
岡崎 太郎(神戸大学 医学部 肝胆膵外科), 松本 拓(神戸大学 医学部 肝胆膵外科), 蔵満 薫(神戸大学 医学部 肝胆膵外科), 田中 基文(神戸大学 医学部 肝胆膵外科), 浅利 貞毅(神戸大学 医学部 肝胆膵外科), 武部 敦志(神戸大学 医学部 肝胆膵外科), 新関 亮(神戸大学 医学部 肝胆膵外科), 木戸 正浩(神戸大学 医学部 肝胆膵外科), 松本 逸平(神戸大学 医学部 肝胆膵外科), 福本 巧(神戸大学 医学部 肝胆膵外科), 味木 徹夫(神戸大学 医学部 肝胆膵外科), 具 英成(神戸大学 医学部 肝胆膵外科) |
抄録 |
症例】68歳女性、高血圧、陳旧性胸膜炎にて近医通院中にスクリーングの腹部エコー検査で18mm大の胆嚢腫瘍を指摘され、精査加療目的にて当科紹介となった。腹部造影CTで胆嚢体部に20mm大の造影効果を有する隆起性病変を認め、漿膜の引きつれを認めることから漿膜下浸潤が疑われた。明らかなリンパ節転移は認めなかった。EUSで胆嚢体部に20mm大の辺縁不整な広基性病変を認めた。最外層は保たれており、漿膜までの進展と考えられた。FDG-PETで胆嚢体部の腫瘍に一致して集積を認めたが、その他に明らかな集積部位は認めなかった。以上からT2(SS), N0, H0, M0, stageIIの胆嚢癌と診断し、手術待機となった。2か月後に手術目的に当科入院。入院後の腹部CTで胆嚢腫瘍の増大、#8, 9, 12の多発リンパ節腫大を認めた。開腹所見では肝転移、腹膜播種は認めず、腫瘍の胆嚢壁外への進展も認めなかった。腫大した#8aを術中迅速病理診断で、adenocarcinomaの診断を得た。#12aから#13, #9, #16a2へと腫大したリンパ節を認め、#8aと同様の性状であり、転移リンパ節と判断、根治手術の適応外と診断し、胆嚢摘出術のみ施行した。術後の病理組織検査では腫瘍は管状、乳頭状、充実性の増殖を示す腺癌と紡錘形の腫瘍細胞が束状あるいは癒合する腔を形成して分布する肉腫様の成分からなる「いわゆる癌肉腫」であった。癌肉腫領域ではvimentin(+), α-SMA(-), desmin(-), CD34(-)であった。胆道癌取扱い規約ではpT2(SS), pN2以上, H0, M(+), fstageVIbであった。術後経過は著変なく、術後12日目に化学療法のため、消化器内科に転科となった。【結論】本邦で胆嚢肉腫の報告は40例程度しかなくまれな疾患であり、その臨床的特徴は明らかではなく、術前診断することは困難であるが、本例のように短期間に急速に進展する可能性を念頭におき、治療にあたる必要があると考えられた。 |