セッション情報 |
パネルディスカション「炎症性腸疾患の内科・外科境界領域」
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タイトル |
P-05:重症潰瘍性大腸炎患者における手術予測因子についての検討
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演者 |
南 尚希(京都大学医学部消化器内科) |
共同演者 |
吉野 琢哉(京都大学医学部消化器内科), 松浦 稔(京都大学医学部消化器内科), 仲瀬 裕志(京都大学医学部消化器内科) |
抄録 |
【背景】タクロリムス(TAC)、インフリキシマブ(IFX)の登場は、重症潰瘍性大腸炎(UC)患者の短期・長期治療成績を大きく変化させた。一方、これら治療に対する抵抗症例は手術に至る。従って、手術を行う適切な時期を逸さないために手術予測因子の同定は重要である。今回、我々は当院で経験した重症UC患者の治療後経過をretrospectiveに解析し、その手術予測因子について検討した。【方法】2001年10月から2013年10月までに当院でTAC、IFX治療を必要とした重症UC患者27名(男性16名、女性11名、TAC導入20名、IFX導入7名)を対象とし、累積大腸非切除率について検討した。さらに手術群と非手術群に分け、その臨床的背景因子(性別、年齢、病型、重症度、内視鏡所見、Cytomegalovirus(CMV)感染、治療法)について比較検討し、手術予測因子について検討した。臨床的活動度はCAIスコア(Modified Truelove-Witts score)を用いて評価し、12点以上を重症、4点以下を寛解と定義した。PCR法による腸管組織中のCMV-DNA陽性例(10copy以上)をCMV感染と定義した。【結果】TACを導入した20名中9名は寛解、11名は治療経過中にIFXに移行した。IFXを導入した7名中3名は寛解、4名はTACに移行した。TACにより寛解するも再燃を認めた1名、TACからIFXに移行するも寛解が得られなかった4名、IFXからTACに移行するも寛解が得られなかった1名の計6名が手術となった。Kaplan-Meier法による累積大腸非切除率は77.8%(観察期間中央値27ヶ月)であった。手術群及び非手術群における臨床的背景因子について検討した結果、手術群において非手術群と比べ腸管組織中CMV-DNA陽性率が有意に高かった(手術群:5名/6名、非手術群:6名/21名、P=0.02)。その他の臨床的背景因子については両群間に有意差を認めなかった。【結語】重症UC患者において腸管組織中CMV-DNA陽性は手術予測因子の一つであると考えられた。腸管組織中CMV-DNA陽性重症UC患者は、手術も視野に入れた治療方法の構築が必要であると考えられた。 |
索引用語 |
重症潰瘍性大腸炎, 手術予測因子 |