セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y6-05:

増殖性化膿性口内炎を合併した潰瘍性大腸炎の1例

演者 橋本 篤(大阪市立大学 医学部 消化器内科)
共同演者 鎌田 紀子(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 西野 真由子(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 柳井 理恵子(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 岡本 純一(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 加藤 邦洋(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 木幡 幸恵(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 田中 史生(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 斯波 将次(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 谷川 徹也(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 十河 光栄(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 山上 博一(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 渡辺 憲治(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 富永 和作(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 渡辺 俊雄(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 藤原 靖弘(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 荒川 哲男(大阪市立大学 医学部 消化器内科)
抄録 【症例】29歳女性【主訴】血便、腹痛、右下口唇から左頬粘膜にかけての腫脹・無痛性の粘膜疹【既往歴】アトピー性皮膚炎、気管支喘息【現病歴】2009年発症の全大腸炎型潰瘍性大腸炎(UC)に対して、5アミノサリチル酸にて近医外来で加療されていた。2012年9月に症状再燃し、当院入院下でタクロリムス(TAC)にて寛解導入、以後、外来に通院加療されていた。2013年2月に口腔内に多発する小隆起が出現し、口腔外科で加療されていた。8月中旬より血便、腹痛の増悪、右下口唇から左頬粘膜にかけての腫脹、無痛性の粘膜疹を自覚し、経口摂取困難にて9月9日に精査加療目的に当科入院となった。【経過】入院後、TAC再導入し、高トラフに移行した10日後より口唇から頬粘膜にかけての腫脹・びらんも腹部症状の軽快に伴いやや改善傾向にあった。しかし、TAC漸減にて上口唇・頬粘膜の病変拡大を認めたため、再度増量し徐々に病変の軽減を認めた。下部消化管内視鏡検査では、S状結腸に不整型潰瘍、類円形の打ち抜き潰瘍が散見され、腸管粘膜PCRにてサイトメガロウイルスが陽性であったためガンシクロビルを開始した。その後排便回数は3回/日程度に改善し、腹部症状も安定したため10月5日に当科退院となった。しかし、口唇より滲出液が出現、疼痛も認めるようになったことから10月16日に当院皮膚科に入院。下唇粘膜生検を施行し、病理組織検査にて増殖性化膿性口内炎と診断された。ジアフェニルスルホン(商品名:レクチゾール)内服、クロベタゾールプロピオン酸エステル(商品名:デルモベート)軟膏外用にて症状は改善した。【考察】増殖性化膿性口内炎は口腔に特徴的な配列を呈する粟粒大の膿疱、びらんを生じ、炎症性腸疾患に特異的なmucocutaneous markerとして認識されている非常にまれな疾患である。先行するUCの存在、臨床所見、病理組織検査よりUCに伴う増殖性化膿性口内炎(Pyostomatitis Vegetans)と診断された1例を経験したため、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 増殖性化膿性口内炎