セッション情報 |
シンポジウム「メタボリックシンドロームと肝胆膵疾患」
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タイトル |
S-03:糖尿病患者のNAFLD/NASH発症・進行における内臓脂肪の関与-腹部超音波による腹膜前脂肪/皮下脂肪厚比評価の意義-
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演者 |
八木 麻衣(市立池田病院 消化器内科) |
共同演者 |
福田 和人(市立池田病院 消化器内科), 小来田 幸世(市立池田病院 消化器内科), 澤井 良之(市立池田病院 消化器内科), 井倉 技(市立池田病院 消化器内科), 今井 康陽(市立池田病院 消化器内科) |
抄録 |
【目的】NAFLD/NASHの発症・進行に内臓脂肪の過剰蓄積が重要な役割を演じると考えられている。腹部超音波検査の際に測定できる腹膜前脂肪厚はCT/MRIで測定した内臓脂肪量と良好な相関を示し、腹膜前脂肪/皮下脂肪厚比(preperitoneal fat/subcutaneous fat ratio;P/S比)は内臓肥満の指標になると考えられている。NAFLD/NASHを高率に合併する糖尿病患者において、P/S比を測定し、NAFLD/NASHの発症・進行との関連について検討した。【方法】2006年より2013年5月までに当院に教育入院した糖尿病患者のうち、ウイルス性肝炎、自己免疫性肝疾患、アルコール性肝障害がなく、腹部超音波検査で脂肪蓄積の程度、脂肪厚が評価できた315例。肝臓の脂肪蓄積の程度を、脂肪肝なし、軽度、中等度、高度に分類し、脂肪肝と判定された症例はNAFLD fibrosis scoreを用いて、線維化進行例と非進行例に分類した。【成績】糖尿病教育入院患者315例中、194例(61%)が脂肪肝と判定された。脂肪肝の程度は、軽度101例、中等度61例、高度32例であった。肝臓の脂肪蓄積が高度になるにしたがってBMI、AST、ALT、TG、LDL-Chol、HOMA-IR、P/S比は増加傾向を示し、HDL-Cholは低下傾向を示した。脂肪肝群194例のうちNASH fibrosis scoreにより30例(15%)が線維化進行例と判定された。線維化進行例は非進行例に比し、脂肪肝の程度、糖尿病コントロール状態に差を認めなかったが、P/S比は高値であった(0.79+0.39 vs. 0.63+0.23, P=0.031)。ロジスティック回帰分析により、P/S比が線維化進行に寄与する有意の因子として抽出された(P=0.04)。線維化進行群のうち3例に入院中HCCが発見され、引き続き治療が行われた。【考案】糖尿病患者において、P/S比は脂肪肝合併例で非合併例に比し高値であり、線維化進行例ではさらに高値であった。P/S比と関連する内臓脂肪蓄積は、糖尿病患者のNAFLD/NASH発症、進行に関与する可能性が示唆された。超音波検査の際に簡便に測定できるP/S比はNAFLD/NASH進行危険群の拾い上げに有用であると考えられた。 |
索引用語 |
NASH, 糖尿病 |