セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F2-07:

高カルシウム血症をきたした肝サルコイドーシスの一例

演者 桑田 光(三田市民病院 消化器科)
共同演者 池田 敦史(三田市民病院 消化器科), 堂垣 美樹(三田市民病院 消化器科), 菅  もも子(三田市民病院 消化器科), 畑中 宏史(三田市民病院 消化器科), 田中 秀憲(三田市民病院 消化器科), 脇 信也(三田市民病院 消化器科), 中村 晃(三田市民病院 消化器科), 木崎 智彦(三田市民病院 病理診断科)
抄録 【症例】82歳男性【主訴】食欲低下、全身倦怠感【既往歴】高血圧、脊椎腫瘍切除【現病歴】高血圧にて近医通院されていた。平成25年5月下旬より、全身倦怠感、歩行時のふらつき、食欲低下が出現し、近医受診。高カルシウム(Ca)血症を指摘され、6月11日に当院紹介受診。同日精査加療目的で入院となった。【経過】入院時血液検査にて、Ca16.1mg/dl(補正値)と著明な高Ca血症を認めた。高Ca血症をきたす薬剤の内服歴はなく、副甲状腺機能の異常も認めなかった。胸部CTで肺野の結節影や肺門部のリンパ節腫脹は確認されなかった。腹部CTで肝右葉に多数の淡い低吸収域を認め、ダイナミックCT動脈相での濃染なく、後期相でも周囲肝実質より低吸収であった。同部位はMRIでT1 iso、T2 ややhighを呈した。転移性肝腫瘍を考え精査を行ったが、原発巣となる病変は指摘されなかった。腫瘍以外の原因も考えられるため、肝生検を施行した。グリソン鞘に関係なく巣状に肉芽腫が散在しており、結核などの感染症やサルコイドーシスが考えられた。特殊染色にて菌体は陰性で、ツベルクリン反応も陰性であり、結核は否定的であった。ガリウムシンチでは肝臓に限局した集積を認めており、生検組織像、血液検査でのACE高値、Ca高値と併せて、肝サルコイドーシスと診断した。高Ca血症、腎機能障害は生理食塩水、利尿剤の投与で速やかに改善し、症状も軽減したが、点滴終了後に腎機能の軽度悪化をみとめたため、第29病日からプレドニン20mg/日の内服を開始した。副作用なく経過し、腎機能、Ca値とも改善傾向みられたため、第38病日に退院となり外来で経過観察中である。【考察】サルコイドーシスは原因不明の全身性肉芽腫性疾患で、主に肺、皮膚などに肉芽腫を形成する。肺、皮膚に病変のないケースは10%以下と稀であるが、肝臓に限局するサルコイドーシスも報告されている。高Ca血症の合併も比較的少なく3.7%程度とされている。今回我々は高Ca血症と肝多発腫瘤の存在から悪性腫瘍の存在を疑い精査した後、肝生検にてサルコイドーシスと診断できた一例を経験したため報告する。
索引用語 サルコイドーシス, 高カルシウム血症