セッション情報 |
シンポジウム「メタボリックシンドロームと肝胆膵疾患」
|
タイトル |
S-02:一般病院での2型糖尿病患者におけるメタボリックシンドロームと胆石症合併リスク因子の臨床的検討
|
演者 |
中西 啓祐(奈良県立五條病院) |
共同演者 |
森安 博人(奈良県立五條病院), 松本 昌美(奈良県立五條病院) |
抄録 |
【目的】2型糖尿病には胆石症合併が多いとされている。また、メタボリックシンドローム(MS)など他の生活習慣病との合併も多く、それらも各々が胆石症合併のリスク因子となり得るが、それに関する報告は少ない。今回われわれは、2型糖尿病とMSのどの因子が胆石症合併に影響を及ぼすかについて、臨床像から検討を行った。【方法】当院にて薬物療法中の2型糖尿病患者(慢性肝疾患を除く)で、2008年11月から2010年11月の間に腹部超音波検査を施行した231例(男性126例、女性105例、平均年齢67.9歳)を対象とした。1)2型糖尿病患者のMS合併(BMI≧25かつ高血圧(HT)あるいは脂質異常症(DL))の有無で胆石保有率について検討した。2)胆石合併または胆嚢摘出術後の症例を胆石保有群(GB群)として、背景因子(年齢、性別、BMI、インスリン・DL治療薬・降圧薬などの投薬状況、脂肪肝合併)、各種パラメーター(HbA1c、AST、ALT、γ-GTP、総コレステロール(TC)、HDLコレステロール(HDLC)、中性脂肪(TG))について、非保有群(NS群)と比較検討した。【結果】1)MS合併群での胆石保有率は29.8%であり、MS非合併群の15.0%よりも有意に高かった。MSの診断4項目別にみると肥満、HTおよびDLの4項目を全て満たす群では、2項目群、3項目群に比べ有意に胆石合併が多かった。2)GB群は47例(20.3%)、NS群は184例(79.7%)であった。単変量解析では、GB群、NS群でそれぞれBMIが平均25.7%、24.1%、DL治療薬投与が68%、51%であり有意差を認めた。また、パラメーターではHDLCが55.0mg/dL、62.9mg/dL、TGが192.8mg/dL、135.3mg/dLであり有意差を認めた。多変量解析では、粗オッズ比が有意であった罹病期間、BMI、HDLC、TG、DL治療薬の有無で検討し、罹病期間とTGで有意差を認めた。【結語】2型糖尿病においては、MSの項目を全て満たす群では胆石合併率が有意に高かった。また、リスク因子としてTGとともに糖尿病罹病期間の長さが挙げられ、末梢神経障害や免疫力低下などの関与が推測された。 |
索引用語 |
糖尿病, 胆石 |