セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F3-11:

切除不能進行膵癌に対して、ゲムシタビン・エルロチニブ併用療法中に間質性肺炎を認めた1例

演者 今井 俊裕(大阪大学 消化器内科)
共同演者 須田 貴広(大阪大学 消化器内科), 重川 稔(大阪大学 消化器内科), 加藤 元彦(大阪大学 消化器内科), 赤坂 智史(大阪大学 消化器内科), 江崎 久男(大阪大学 消化器内科), 阪森 亮太郎(大阪大学 消化器内科), 新崎 信一郎(大阪大学 消化器内科), 藥師神 崇行(大阪大学 消化器内科), 西田 勉(大阪大学 消化器内科), 飯島 英樹(大阪大学 消化器内科), 大川 和良(大阪大学 消化器内科), 平松 直樹(大阪大学 消化器内科), 辻井 正彦(大阪大学 消化器内科), 竹原 徹郎(大阪大学 消化器内科)
抄録  症例は60歳台男性。心窩部痛を主訴に受診され、膵頭部癌StagIVb(多発肝転移・多発肺転移)と診断された。喫煙歴や間質性肺炎の既往を認めず、ゲムシタビン(GEM)・エルロチニブ(ERL)併用療法開始となった。 1クール施行中にGrade3の白血球減少と好中球減少を認めたため、GEMを8割に減量し、以後外来で化学療法を継続していた。2クール2投目終了後、38℃台の発熱を認めたが、無治療で改善したため経過観察されていた。しかし、その後も微熱が継続し、2クール終了時には呼吸苦が出現した。3クール目開始時に両下肺野にfine crackleを聴取し、胸部CTで両肺にびまん性すりガラス陰影を認めたため、間質性肺炎を疑われ、同日緊急入院となった。入院時SpO2は室内気で95%と軽度低下していたため、酸素投与を開始した。化学療法施行前は正常値であった血中LDH、KL-6、SP-Dは高値を示していた。気管支鏡検査を施行した所、感染症等を疑う所見は認められず、薬剤性間質性肺炎と診断した。ステロイドパルス療法を3日間施行し、室内気でもSpO2が維持できるほど改善したため、ステロイド維持療法を行わなかった。その後、症状増悪することなく採血、胸部CT所見も改善したため、経過良好であると判断し第19病日に退院となった。 今回、GEMまたはERLによる薬剤性間質性肺炎となった切除不能膵癌の1例を経験した。切除不能膵癌に対するGEM・ERL併用療法はGEM単剤と比し、生命予後を有意に延長することが報告されており、本邦では一次治療の一つとして推奨されている。しかし、間質性肺炎などの重篤な副作用が出現するため、その使用には患者の選定を含め十分な注意が必要である。ERLの間質性肺炎に関して、これまでの報告をもとに検討し報告する。
索引用語 エルロチニブ, 間質性肺炎