セッション情報 ワークショップ1「肝細胞癌治療の現況と展望」

タイトル W1-07:

根治不能肝癌に対する治療選択:分子標的治療薬か肝動注療法か

演者 守屋 圭(奈良県立医科大学第三内科)
共同演者 吉治 仁志(奈良県立医科大学第三内科), 福井 博(奈良県立医科大学第三内科)
抄録 【目的】分子標的治療薬であるソラフェニブ (SORA) は根治不能進行肝細胞癌 (aHCC)に対して2009年秋に使用可能となった。一方、我が国では従来より肝動注化学療法 (HAIC)が有効とされており、今後HAICとSORAの治療選択が重要となってくると思われる。今回我々は、SORA適正使用指針作成後のaHCCに対するHAIC/SORAの治療成績を分析し比較検討した。【方法】SORA適正使用指針作成後に当科で診断した肝細胞癌患者326例のうち、HAIC (繰り返しone-shot動注) またはSORAを施行したaHCC 72例 (M55/F17、中央値72歳)を対象として種々の項目について比較検討を行った。また、Stage III以上の脈管浸潤を合併したaHCC(V(+)aHCC)についても解析を加えた。【成績】aHCCにおける治療法はHAIC 38例(M30/F8、中央値70歳)、SORA 34例 (M25/F9、同73歳)であった。HAICの無増悪期間 (TTP)/平均生存期間 (MST)の中央値 (日) は各々177/456で、SORAの161/279に比してMSTが有意に延長していた (p<0.05)。また、約2/3の症例ではHAIC前後における Childスコアが不変であり、2点以上増悪した症例は1例のみ(8%)であった。一方、V(+)aHCCについて、HAIC単独治療例(H群:男/女: 4/1; 年齢中央値62歳)、SORA単独治療例(S群:男/女: 2/1; 同 67歳)、HAIC先行後SORAに変更した症例(HS群: 男/女: 5/1; 同 67歳)に分けて検討したところ、治療継続可能期間および中央生存期間(MST)は、H群 411/663、S群 249/249、HS群 409/615(日)であり、HおよびHS群に比しS群で有意に短かった。H群全体におけるRT併用効果は明らかでなかったが、肝静脈浸潤(Vv)2症例のMST は1036日と著明に延長していた。【結論】aHCCの治療において、HAICは脈管浸潤例においても肝予備能を低下させることなく奏効する可能性があり、肝静脈浸潤例に対してはRT併用により予後改善が期待できると思われた。一方、SORAは一部の症例で長期生存が見込まれるものの、単独ではHAICよりも治療延命効果が弱い可能性が示唆された。
索引用語 肝細胞癌, 分子標的治療薬