セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y4-01:

ヘルぺス食道炎の一例

演者 青木 領太(医療法人)
共同演者 田中 さゆり(医療法人), 西田 悠(医療法人), 竹内 庸浩(医療法人), 野村 祐介(医療法人), 多田 秀敏(医療法人), 前田 哲男(医療法人)
抄録 【症例】80歳女性。【主訴】発熱、悪寒。【既往歴】アレルギー性気管支・肺アスペルギルス症(プレドニゾロン15mg/日服用中)、糖尿病、胃・十二指腸潰瘍術後(幽門側胃切除、Bil-2再建)。【現病歴】2013年4月上旬、発熱・悪寒出現し持続するため当院受診。尿路感染症と診断し入院となった。【入院後経過】抗生剤加療にて経過良好であったが、腹部CT検査にて胆嚢結石および胆管結石を認め、第4病日にERCPを施行した。Bil-2術後胃であり、直視鏡にフードを装着して施行したが、その際は食道に明らかな異常は認めず。胆管への挿管が困難であったため、第11病日に再度ERCPを施行したところ、口腔内からEGjunction直上の下部食道まで水疱が破裂したような円形びらんを認めた。同時期より嚥下痛も認め、ヘルペス食道炎疑いにてバラシクロビル(1500mg/日・4日間、500mg/日・2日間)内服を行った。第22病日上部消化管内視鏡検査を施行したところ食道内のびらんは改善を認めた。後日免疫組織化学染色を追加し、HSV-1陽性でヘルペス食道炎と確定した。【考察】ヘルペス食道炎の多くは免疫抑制状態にある患者において、三叉神経節の神経細胞に潜伏感染しているHSV-1,2が唾液中に排泄されることで食道粘膜に感染し、口唇と同様の病変を来すと考えられている。本症例においては長期のプレドニン内服患者に感染を併発し全身状態不良となったことが発症の誘因となったと考えられた。内視鏡所見、抗体価の上昇でヘルペス食道炎を疑い抗ウイルス薬投与にて軽快した。確定診断は免疫染色によるHSV抗原の検出、PCR法によるウイルスDNAの検出でなされ、本症例でも免疫染色にて確定しえた。【結語】ヘルペス食道炎の一症例を経験した。若干の文献的報告をふまえ報告する。
索引用語 単純ヘルペスウイルス, 食道炎