セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y1-07:

左眼内炎が契機となって発見された肝膿瘍の1例

演者 藤井 康智(京都第二赤十字病院 消化器内科)
共同演者 川勝 雪乃(京都第二赤十字病院 消化器内科), 和田 浩典(京都第二赤十字病院 消化器内科), 上田 悠輝(京都第二赤十字病院 消化器内科), 白川 敦史(京都第二赤十字病院 消化器内科), 岡田 雄介(京都第二赤十字病院 消化器内科), 真田 香澄(京都第二赤十字病院 消化器内科), 中瀬 浩二朗(京都第二赤十字病院 消化器内科), 萬代 晃一朗(京都第二赤十字病院 消化器内科), 鈴木 安曇(京都第二赤十字病院 消化器内科), 河村 卓二(京都第二赤十字病院 消化器内科), 河端 秀明(京都第二赤十字病院 消化器内科), 宮田 正年(京都第二赤十字病院 消化器内科), 盛田 篤広(京都第二赤十字病院 消化器内科), 宇野 耕治(京都第二赤十字病院 消化器内科), 田中 聖人(京都第二赤十字病院 消化器内科), 安田 健治朗(京都第二赤十字病院 消化器内科), 中島 正継(京都第二赤十字病院 消化器内科)
抄録 【症例】77歳男性【主訴】発熱、左視力低下【既往歴】前立腺肥大【現病歴】38度以上の発熱を認めた2日後に左眼球結膜充血、視力低下を自覚した。眼症状出現4日後に当院眼科を受診し、左内因性眼内炎と診断された。原発巣精査で肝膿瘍が疑われため当科へ紹介となった。【検査所見】WBC14000、CRP10.16、血糖値294、HbA1c7.2%と炎症反応の上昇および耐糖能異常を認めた。腹部超音波検査では肝外側区域に36mm大の辺縁不整、内部不均一な低エコー腫瘤を認めた。造影CTで同腫瘤はリング状濃染を示した。【経過】臨床経過と検査所見より肝膿瘍と診断し当科を主科に眼科、糖尿病内科と連携した入院加療が開始された。入院第1病日左硝子体手術が施行されたが、網膜が広範囲に障害されており視力の回復は困難と考えられた。第2病日に経皮経肝膿瘍ドレナージを施行した。硝子体液培養、肝膿瘍穿刺液培養、尿培養からKlebsiella pneumoniaeが検出された。血液培養は陰性だったが臨床的に敗血症と診断、K.pneumoniaeが全身性に血行性転移し感染巣を形成したと考えた。抗生剤は点眼も併用しSBT/CPZ2g×2静脈投与から開始、培養の感受性結果を参考に入院第5病日CEZ1g×3静脈投与へde-escalationした。炎症反応が陰性化した入院第17病日にCFPN-PI100mg×3経口投与へ変更した後も再燃なく経過した。入院第23病日に退院となったが、左眼は光覚弁消失に至った。【考察】肝膿瘍は肝外病変を併発することがある。肝外病変の中で眼内炎は頻度が高く、視力予後が極めて不良であり早期治療が重要である。K.pneumoniaeは厚い莢膜を有するため転移性病変を来しやすいといわれ、肝膿瘍に併発した内因性眼内炎の原因菌の90%以上はK.pneumoniaeと報告されている。K.pneumoniae肝膿瘍の治療の際には肝外病変、特に眼内炎の有無を念頭に置く必要がある。
索引用語 肝膿瘍, Klebsiella pneumoniae