セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y5-08:

脾臓sclerosing angiomatoid nodular transformationの一例

演者 荻田 和幸(京都きづ川病院 消化器内科)
共同演者 村上 貴彬(京都きづ川病院 消化器内科), 山端 朋子(京都きづ川病院 消化器内科), 辻 和宏(京都きづ川病院 消化器内科), 辰巳 菜津子(京都きづ川病院 消化器内科), 前田 利郎(京都きづ川病院 消化器内科), 丸山 恭平(京都きづ川病院 消化器内科), 伊藤 義人(京都府立医科大学附属病院)
抄録 症例は43歳の女性。2012年12月検診の腹部エコー検査で肝腫瘤と脾臓に径26mm大の内部不均一な低エコー腫瘤を指摘された。肝腫瘤は6年前には肝血管腫と診断された時と変化はなかったものの、脾臓の腫瘤は6年前には指摘されておらず精査を行った。単純CTでは脾臓の腫瘤は脾臓実質に比して淡い低吸収を示し、造影CTでは早期相から後期相にかけて不均一な造影効果を認め、遅延相でも持続していた。MRI T2強調画像では脾実質に比べ低信号で不均一な像を呈していた。またFDG-PETでは同部位にFDGの集積(SUVmax 3.25)を認め、活動性の病変が疑われた。血液検査では、腫瘍マーカーは検索した範囲内ではすべて正常範囲内であり、また転移性脾腫瘍の検索のため上・下部消化管内視鏡検査を施行したが原発を疑わせる所見は認められなかった。6年前には認めず、上記検査からも悪性腫瘍の可能性を否定できないため、診断的治療として2013年8月に腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した。腫瘤は境界明瞭な充実性腫瘤であり、腫瘤内には大小さまざまな結節が形成されていたが核異型や分裂像は確認できなかった。免疫組織染色ではcord papillary (CD34+/8-/31+)・sinusoid(CD34-/8+/31+)・small veins(CD34-/8-/31+)という異なる三種の血管成分が確認され sclerosing angiomatoid nodular transformation(SANT)と診断した。脾臓SANTは2004年に初めて報告された、非常に稀な良性の脾臓腫瘤形成性疾患である。今回検診で指摘され、診断的治療を行ったSANTの一例を経験したため文献的考察を加え報告する。
索引用語 脾腫瘍, SANT