セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F4-03:

Trisomy8 MDSを合併した腸管型Behcet's diseaseにアダリムマブが著効した1例

演者 木村 昌倫(京都大学医学部附属病院 消化器内科)
共同演者 辻 喜久(京都大学医学部附属病院 消化器内科), 岩井 真紗子(京都大学医学部附属病院 消化器内科), 稲垣 真裕(京都大学医学部附属病院 消化器内科), 吉野 琢哉(京都大学医学部附属病院 消化器内科), 松浦 稔(京都大学医学部附属病院 消化器内科), 仲瀬 裕志(京都大学医学部附属病院 消化器内科), 千葉 勉(京都大学医学部附属病院 消化器内科)
抄録 背景:近年、腸管型Behcet's disease(以下BD)に対する抗TNF-α抗体製剤の有効性が報告されている。一方、腸管型BDが Trisomy8 MDSを合併することが知られているものの、抗TNF-α抗体製剤がBDとMDSの双方に奏功した報告はない。今回、我々は抗TNF-α抗体製剤の1つであるアダリムマブが腸管型BDとMDSに奏功した1例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。症例:79歳の女性。大腸腫瘍内視鏡治療部位に生じた難治性潰瘍に対する回盲部切除術の既往あり。術後、吻合部口側に再度難治性潰瘍が出現した。HLA-B51陽性であり、臨床経過から腸管型BDと診断された。プレドニン(30mg)にて治療開始されたが、腸管皮膚瘻孔が出現した。瘻孔治療のため一時回腸ストマを作製し、その後回腸横行結腸吻合施行。術後、アダリムマブの投与を開始(160mg)したところ、炎症反応・腹部症状は著名に改善した。経過中、白血球と赤血球は減少(WBC1800/μl、Hb5.9g/dl)したため骨髄生検を行ったところ、trisomy8陽性MDSと診断された。アダリムマブ投与開始115日にてWBC3800/μl、Hb9.7 g/dlまで改善し、現在外来にて経過観察中である。考察:本例では、アダリムマブ単独治療が、Trisomy8 MDSと腸管型BDの双方に有効であった。アダリムマブはヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体であり腸管型BDへの投与は保険適用されている。しかしながら、Trisomy8 MDSに対しての効果は不明で、文献検索では、本邦におけるTrisomy8 MDS合併腸管型BDとして報告されている41例のうち、アダリムマブ単剤治療の報告はなかった。我々の結果から、アダリムマブはTrisomy8 MDS合併腸管型BDにおいて、腸病変のみならずTrisomy8 MDSにも有効である可能性が示唆された。
索引用語 Behcet disease, 生物学的製剤