セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y5-09:

重症急性膵炎後に狭窄型の虚血性腸炎を発症した1例

演者 藤本 和世(明石医療センター 消化器内科)
共同演者 佐々木 一就(明石医療センター 消化器内科), 渡部 晃一(明石医療センター 消化器内科), 林 賢一(明石医療センター 消化器内科), 安藤 純哉(明石医療センター 消化器内科), 花房 正雄(明石医療センター 消化器内科), 門 卓生(明石医療センター 消化器内科), 吉田 志栄(明石医療センター 消化器内科), 原野 雄一(明石医療センター 消化器内科), 安東 直之(明石医療センター 消化器内科), 名生 諭史(明石医療センター 消化器内科), 中島 卓利(明石医療センター 消化器内科), 吉田 俊一(明石医療センター 消化器内科), 澤井 繁明(明石医療センター 消化器内科)
抄録 重症急性膵炎は、各種臓器に様々な合併症をきたす重篤な疾患である。腸管合併症として、出血、壊死、狭窄、瘻孔形成等が挙げられるが、発症頻度は稀である。膵炎による結腸狭窄は発症初期の一過性のものであれば膵炎に対する適切な治療で良好な経過をとるのが多いが、狭窄が進行し高度であればバルーン拡張術等の内視鏡的治療や外科的切除が必要となる場合がある。今回我々は重症急性膵炎救命後に、下部消化管内視鏡検査で狭窄型の虚血性腸炎の発症を認め、最終的に外科的切除を施行した1例を経験したので報告する。症例は45歳男性。他院で急性膵炎と診断され加療を受けていたが、徐々に意識レベルが低下し、血液検査で炎症反応、膵酵素の上昇を認めたため、第3病日に加療目的で当院転院となった。来院時血液検査で血中アミラーゼ1151 U/L、血糖1287mg/dl、尿中ケトン体(-)、腹部CT所見から重症急性膵炎と診断し、また高浸透圧性非ケトン性昏睡を合併していると考えられた。大量輸液、蛋白分解酵素阻害剤と抗菌剤の投与、持続的インスリン静注、経腸栄養、人工呼吸器管理等の集中治療を行った。第28日に人工呼吸器管理終了後、経口摂取を開始していたが、発熱と腹痛が持続し食事摂取不良傾向となった。第74病日に下部消化管内視鏡検査でS状結腸に潰瘍を伴う全周性の狭窄を認めた。狭窄部位の内視鏡の通過は可能であったが、その後腹痛が増強し、第93病日に下部消化管内視鏡検査でS状結腸の狭窄の進行を認め、内視鏡は通過不可能であった。内科的治療の限界と考えられ、最終的に第114病日にS状結腸部分切除術を施行した。本症例は急性膵炎により結腸間膜に炎症を起こし、狭窄型の虚血性腸炎を合併した1例である。急性膵炎後の虚血性腸炎の切除例は報告例が稀であり、膵炎と高血糖の関連性と共に文献的考察をふまえて報告する。
索引用語 膵炎, 虚血性腸炎