セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 48:セフトリアキソンが原因と考えられた偽胆石で胆石性膵炎を発症した1例 |
演者 | 佐藤 悠(国立病院機構 神戸医療センター 消化器科) |
共同演者 | 清水 一也(国立病院機構 神戸医療センター 内科), 阪口 博哉(国立病院機構 神戸医療センター 消化器科), 中山 文仁(国立病院機構 神戸医療センター 消化器科), 三田 正樹(国立病院機構 神戸医療センター 消化器科), 宮崎 博之(国立病院機構 神戸医療センター 消化器科), 末廣 逸夫(国立病院機構 神戸医療センター 消化器科) |
抄録 | 【症例】79歳女性【主訴】発熱 【現病歴】2012年11月下旬にADL低下し、その後倦怠感悪化や食事量低下となり、脱力も出現した。同年12月初旬に近医受診し精査加療目的に当院紹介受診となった。37.9度の発熱と混濁尿、血液検査でCRP 26.15mg/dL,WBC 20300/μLと高度の炎症反応をみとめ、尿路感染症と診断され緊急入院となる。 【入院後経過】セフトリアキソン(CTRX)2g/日で加療開始した。尿培養からE.coliが検出され画像診断で腎膿瘍を併発しており、CTRX投与を18日間継続した。入院時、胆石を含め肝胆膵の異常は指摘されなかった。 第18病日に嘔吐あり第19病日に膵AMY 1506IU/Lと急激な上昇をみとめた。画像上、胆嚢内に多数の小結石像が出現していた。明らかな総胆管結石や膵炎所見は指摘されなかったが、絶食の上、CTRXをMEPMに変更し抗膵炎治療を行った。潤腸に軽快し第21病日から経口摂取を開始した。第26病日に腹痛出現し膵AMY 808IU/Lまで再上昇した。絶食と抗膵炎治療にて膵酵素軽快したために経口摂取再開したところ、第29秒日に再度嘔吐あり膵AMYは7502 IU/Lまで上昇した。胆嚢内の胆泥や小結石が、経口栄養に伴い総胆管やvarter入党を閉塞し、胆石性膵炎を反復していると考え、第36病日に内視鏡的逆行性胆管膵管造影施行した。総胆管内に明らかな欠損陰影は指摘されなかった。内視鏡的乳頭括約筋切開術を施行したところ、膵AMYは順調に低下した。経口摂取再開後も腹痛嘔吐症状再燃せず、軽快退院された。 【考察】CTRXの副作用として可逆性偽胆石症が知られているが成人の胆石性膵炎報告例はまれである。また通常はCTRX中止に伴い胆石が消失するが、本例ではCTRX中止後18日経過後も、胆石性膵炎の原因となっていたと考えられた。本例のようにCTRXによる医原性胆石症発症リスクがあり、絶食・薬剤中止のみで軽快しない場合、ESTが有効と考えられた。 |
索引用語 | セフトリアキソン, 可逆性偽胆石症 |