セッション情報 ワークショップ1「肝細胞癌治療の現況と展望」

タイトル W1-05:

進行肝細胞癌に対する肝動注リザーバー治療の検討

演者 松村 晋矢(京都第一赤十字病院 消化器内科)
共同演者 世古口 悟(京都第一赤十字病院 消化器内科), 中村 英樹(京都第一赤十字病院 消化器内科), 木村 浩之(京都第一赤十字病院 消化器内科), 吉田 憲正(京都第一赤十字病院 消化器内科)
抄録 【目的】当院におけるLow-doseFP(LFP)療法によるリザーバー肝動注療法の治療成績について検討を行った。【方法】2000年から現在までにLFP療法を施行した進行肝細胞癌88例を対象とした。平均年齢は66.4歳(男性72例、女性16例)で成因はHBV:12例、HCV:59例、HBV+HCV:2例、nonB nonC:15例、Child-Pugh分類はA:54例、B:33例、C:1例、肝癌stageはII:2例、III:34例11、IVA:43例、IVB:9例であった。入院後にリザーバーを留置し、Day1-5でCDDP10mg/body・5-FU250mg/body/dayを動注、Day6-7は休薬とする治療を4週間行い、以後外来にて隔週で動注した。効果判定は治療開始4週間後の画像で行い、生存期間に影響を及ぼす因子を検討した。StageIVB9例および2009年から現在までにSorafenib治療を行った31症例(平均年齢69.1歳、男性21例、女性10例、Child-Pugh分類A:26例、B:5例、肝癌stageIII:11例、IVA:6例、IVB:14例、平均投与期間:67.8日)の検討も行った。統計解析はKaplan-Meier法、予後予測因子はCox比例ハザードモデル、奏功予測因子はロジスティック解析で算出した。【成績】LFP療法を施行した全症例の治療効果はCR:6例、PR:29例、SD:17例、PD:34例で奏効率40.7%、MST7.2ヶ月、1年生存率は26.1%であった。予後予測因子の多変量解析では腹水なし、治療後腫瘍マーカー低下、奏功、LFP療法無効時のsecond line導入ありで有意差を認め、奏功が最大の因子となった。奏功例においては、MST16.8ヶ月、1年生存率は60.6%であった。奏功予測因子の多変量解析では60歳以上、T-bil1mg/dl未満、腫瘍マーカー低下が有意因子となった。StageIVB症例は奏効率33.3%、MST7.2ヶ月、10ヶ月以上生存例は3例あり、予後予測因子として有意なものは認めなかった。Sorafenib投与症例において奏功例は認めなかったが、病勢制御率は29.6%、MST10.6ヶ月、1年生存率は22.6%であった。【結語】LFP療法は60歳以上、T-Bil1mg/dl未満、腫瘍マーカー低下例では、奏功を示し長期生存が得られる可能性がある。またstageIVB症例でも一部で有効例があり、sorafenib投与困難例や不応例においても適応を検討する必要がある。
索引用語 肝動注リザーバー治療, ネクサバール