セッション情報 |
シンポジウム「メタボリックシンドロームと肝胆膵疾患」
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タイトル |
S-08:C型慢性肝疾患にみられる脂肪肝合併における生活習慣病の重要性についての検討
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演者 |
永瀬 寿彦(市立吹田市民病院 内科) |
共同演者 |
若松 周司(市立吹田市民病院 内科), 澤村 真理子(市立吹田市民病院 内科), 黒島 俊夫(市立吹田市民病院 内科) |
抄録 |
(目的)慢性C型肝炎は脂肪肝を合併することが多いが、脂肪肝はメタボリックシンドロームの肝臓での表原型でもある.我々は、これまでC型慢性肝疾患に合併する肝細胞がんは生活習慣病の中で糖尿病や高血圧が重要であり、性差があることを報告してきた.今回、C型慢性肝疾患にみられる脂肪肝における生活習慣病の重要性について検討した.(対象)対象は当院に通院中のC型慢性肝疾患228例のうち脂肪肝合併の有無が確認された221例(男性/女性=126/95)である.(方法)全例及び男女別での脂肪肝の有無に関して、肥満・高血圧・高尿酸血症・糖尿病・脂質異常症を検討対象項目とした.ロジスティック回帰分析を行った後、有意因子について検討を加えた.(結果) 全例での単変量解析では肥満(p<0.0001)、脂質異常症(p=0.0007)、糖尿病(p=0.0175)が有意に脂肪肝を合併していた.多変量解析では、肥満(Odds比5.695、p<0.0001)、脂質異常症(Odds比2.703、p=0.0265)が脂肪肝合併に寄与する有意因子であった.男女別での検討では、女性は肥満(Odds比5.033、p=0.0235)、脂質異常症(Odds比4.847、p=0.0312)が有意因子であったが、男性は肥満(Odds比8.032、p=0.0009)のみ有意因子であった.脂肪肝有は脂肪肝無に比し、全例では有意にBMI、LDLコレステロール、中性脂肪は高値(p<0.0001、p=0.0040、p=0.0052)で、HDLコレステロールは低値(p=0.0046)であった.女性は有意にBMIは高値(p=0.0016)であった.LDLコレステロール、中性脂肪は高値で、HDLコレステロールは低値であったが有意ではなかった(p=0.1417、p=0.1504、p=0.2387).一方、男性は有意にBMI、LDLコレステロール、中性脂肪は高値(p=0.0017、p=0.0133、p=0.0163)で、HDLコレステロールは低値(p=0.0059)であった.脂肪肝の有無で全例・男性では脂質異常治療薬の内服率に差はなかったが、女性は脂肪肝を有する患者の内服率が有意に高くなっていた(p=0.0117).(結論)C型慢性肝疾患に合併する脂肪肝に関与する生活習慣病は肥満と脂質異常症が重要であった.性別の検討では女性は同様であったが、男性は肥満のみ有意因子であった. |
索引用語 |
C型慢性肝疾患, 生活習慣病 |