セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y2-01:

胆嚢摘出術後2年7カ月目に総胆管狭窄を伴うリンパ節転移再発をきたした潜在性胆嚢癌の一例

演者 清 裕生(製鉄記念広畑病院)
共同演者 中村 久美子(製鉄記念広畑病院), 山内 健史(製鉄記念広畑病院), 森澤 俊英(製鉄記念広畑病院), 日並 義統(製鉄記念広畑病院), 田淵 真彦(製鉄記念広畑病院), 上山 茂充(製鉄記念広畑病院), 藤澤 貴史(製鉄記念広畑病院)
抄録 胆嚢摘出術後2年7カ月目に総胆管狭窄を伴うリンパ節転移再発をきたした潜在性胆嚢癌の一例【症例】症例は70歳代女性。慢性胆石性胆嚢炎に対し腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)を施行され、病理所見で表面を被覆する上皮に異型細胞を認めたが、免疫組織化学的には再生病変と考えられていたため経過観察とされていた。術後2年7カ月後、腹部膨満感・体重減少を主訴に近医を受診し、肝胆道系酵素の上昇を指摘され精査・加療目的で当科に紹介受診となった。腹部エコー・造影CT・MRCPで不整形軟部腫瘤による中部胆管狭窄をきたし、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)では中部胆管の狭窄部は壁外圧排を疑う所見を認め、胆管擦過細胞診および胆汁細胞診では悪性所見は認めなかった。超音波内視鏡検査(EUS)では狭窄部近傍に血管増生を伴う境界不明瞭、辺縁不整で内部不均一な低エコー性腫瘤像を認め、同部位より超音波内視鏡下穿刺吸引術(EUS-FNA)を施行し、組織診で多数のリンパ球に混在してケラチン陽性の異型細胞を認めたことから腺癌のリンパ節転移と診断した。他の臓器に原発を疑わせるような病変がないことから胆嚢癌のリンパ節転移再発と診断した。治療は手術適応ではなく胆管狭窄に対しメタリックステントを留置後、切除不能再発胆嚢癌として化学療法(GEM+CDDP)を行っている。【考察】本症例は胆嚢摘出後に病理所見で追加切除は必要ないと考えられたが、2年7カ月後にリンパ節転移を認めており、潜在性胆嚢癌は術後も厳重な経過観察が必要と考えられた。胆嚢結石症や胆嚢ポリープなどの胆嚢良性疾患へのLCが普及するにつれ、術後病理組織学的に胆嚢癌が判明する症例が増加しており、その頻度は0.5~0.9%とされている。胆道癌診療ガイドラインでは病理組織学的にm、mpと診断された症例では断端が陰性であれば原則として追加切除は必要としないとされている。【結語】我々は胆嚢摘出術後2年7カ月目にリンパ節転移による総胆管狭窄をきたした潜在性胆嚢癌の一例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 胆嚢癌, 術後再発