セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F3-05:

急性肝不全をきたしたAIH-PBCオーバーラップ症候群の一例

演者 勝山 祐輔(三菱京都病院 消化器内科)
共同演者 中辻 正人(三菱京都病院 消化器内科), 田中 淳也(三菱京都病院 消化器内科), 杉本 英光(三菱京都病院 消化器内科), 鍋島 紀滋(三菱京都病院 消化器内科), 守上 佳樹(三菱京都病院 内科), 水野 雅博(三菱京都病院 内科)
抄録 症例は49歳女性。過去にZTT、TTTの軽度上昇を指摘されたが、それ以外に異常所見を認めなかった。飲酒歴、内服歴もない。二週間持続する心窩部違和感、微熱、倦怠感、尿色の変化を主訴に近医受診し、黄疸、肝胆道系酵素の上昇を指摘され当院を紹介受診された。全身に黄疸が著明であったが意識は清明、羽ばたき振戦は認めなかった。血液検査にてT-Bil 10.3mg/dl、AST 1233IU/l、ALT 1224IU/l、ALP 539IU/l、γ-GTP 138IU/l、PT 29.2%、NH3 82μg/dlであった。エコー、CTにて脾腫を認めるも胆管に明らかな異常を認めなかった。HBs抗原、HCV抗体、HCV-RNA、IgM-HA抗体は陰性であり、CMVは既感染でEBVも肝炎の原因としては否定的であった。IgG 2534mg/dl、IgM 393mg/dl、抗核抗体160倍と高値であり、抗ミトコンドリアM2抗体陽性であったためAIHあるいはオーバーラップ症候群が疑われた。入院6日目より3日間メチルプレドニゾロン1gを投与後プレドニゾロン内服30mg/dayを開始した。PTは徐々に改善したが、T-Bilは20.3mg/dlまで上昇したため、入院25日目よりウルソ600mg/dayを開始したところ低下傾向となった。その後はプレドニゾロンを漸減し、全身状態、肝機能が共に改善したため入院46日目で一旦退院とした。退院前に肝生検を施行したところ、肝小葉の辺縁を中心とした肝炎像が主でありpiecemeal necrosisも認め、AIHの像と考えられた。一方でグリソン鞘内の元来の胆管は消失し再生過程と思われる細胆管が観察され、慢性的な胆管障害を示唆する所見も認めたためPBCを基礎に高度AIHを合併したAIH-PBCオーバーラップ症候群と診断した。AIH-PBCオーバーラップ症候群では急性肝不全は比較的稀とされており、若干の文献的考察を交え報告する。
索引用語 自己免疫性肝炎, 原発性胆汁性肝硬変