セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y2-06:

TS-1+Interferon併用療法が奏効した巨大な肝細胞癌の一例

演者 南 知宏(近畿大学 医学部 消化器内科)
共同演者 南 康範(近畿大学 医学部 消化器内科), 千品 寛和(近畿大学 医学部 消化器内科), 有住 忠晃(近畿大学 医学部 消化器内科), 田北 雅弘(近畿大学 医学部 消化器内科), 北井 聡(近畿大学 医学部 消化器内科), 矢田 典久(近畿大学 医学部 消化器内科), 井上 達夫(近畿大学 医学部 消化器内科), 萩原 智(近畿大学 医学部 消化器内科), 上嶋 一臣(近畿大学 医学部 消化器内科), 西田 直生志(近畿大学 医学部 消化器内科), 工藤 正俊(近畿大学 医学部 消化器内科)
抄録  症例は60歳代男性。既往歴として40歳頃に胃潰瘍にて胃亜全摘と生活歴としてアルコール多飲がある。2008年4月より全身倦怠感が出現したため近医で精査したところ巨大な肝腫瘍を指摘されたため当院に紹介となった。当科初診時の肝機能はChild-Pugh:6点A(脳症:なし、腹水:なし、Alb:3.4g/dl、T.Bil:1.1g/dl、PT(%):104.6%)、腫瘍マーカーはAFP:811ng/ml、PIVKA:34841mU/mlであり、腹部造影CTにて巨大な肝細胞癌の多発を認め、肝右葉全体が塊状の腫瘍に置き換えられていた。胸腹部造影CTや骨シンチグラフィにて全身検索を行ったところ肝外病変は認めなかったが、巨大な肝細胞癌であったために治療は肝動注用リザーバー留置までの先行治療としてTS-1+Interferon併用療法を4週間行ったところ、著明な腫瘍縮小効果が得られた。そのため当初予定していた肝動注療法は行わず、TS-1+Interferon併用療法を2009年1月までに合計5クール施行した。しかし、間質性肺炎を認めためIA-Callを用いた肝動脈化学療法(TAI)を2回行い、現在に到るまで肝細胞癌の再燃を認めていない。進行性肝細胞癌に対する治療は、肝動脈化学塞栓療法や肝動注療法、分子標的治療薬の投与などが挙げられる。また、保険適応外であるが他の悪性新生物に対する抗癌剤の内服や今回のようにInterferonを併用した症例も報告されている。今回我々はTS-1+Interferon併用療法が奏効した巨大な肝細胞癌の貴重な一例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 肝細胞癌, TS-1