セッション情報 パネルディスカション「炎症性腸疾患の内科・外科境界領域」

タイトル P-12:

炎症性腸疾患に合併する肛門病変の治療

演者 橋本 可成(順心病院 外科DELIMITER三菱神戸病院 消化器科)
共同演者 田代 充生(三菱神戸病院 内科), 松田 耕作(三菱神戸病院 内科)
抄録 【目的】炎症性腸疾患に合併する肛門疾患は難治かつ複雑で患者さんのQOLを損なう大きな問題となっている。また、その診断治療において消化器内科医は外科医に委ねようとし、外科医は肛門科医に、肛門科医は全身管理と腸管病変の治療ができずに、原疾患の増悪を招く結果となる。当科においては腸管病変から肛門病変まで同一科で診断、加療を行ってきた。今回当科の治療成績、工夫について報告する。【方法】当科で経験した潰瘍性大腸炎とクローン病の肛門病変について検討を加えた。【成績】潰瘍性大腸炎は51例中12例に肛門病変を有し、内痔核7例、痔ろう4例、裂肛1例などで、保存的療法で改善し、痔ろうは寛解導入後cutting setonした。クローン病は26例中20例に痔ろう、2例に裂肛があり、初診時に外来で局所麻酔下にseton drainageを行い、その後抗TNFα製剤投与を行っている。setonが除去となったのは2例のみで、その他は継続drainage中である。裂肛は1例はinfliximab投与にて腸管病変とともに寛解導入可能で、その他はadaribmab投与で改善なく軟膏投薬中である。肛門狭窄は1例にあり、内視鏡的バルーン拡張を継時的に行い、その後冷却痔処置の器具を使用し自己ブジーを行っている。【結論】1)潰瘍性大腸炎に合併する肛門病変は通常の肛門病変と同様の加療でよいが、侵襲を伴う加療は寛解導入後に行う。2)クローン病に伴う肛門病変は痔ろうはseton drainage後に抗TNFα製剤投与を行い、裂肛には抗TNFα製剤投与し、効果なければ通常の裂肛に対する加療を続行する。3)肛門狭窄にはバルーン拡張後自己ブジーを行っている。
索引用語 炎症性腸疾患, 肛門病変