セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y6-07:

治癒経過を追えた宿便性大腸潰瘍の一例

演者 田村 彰朗(兵庫医科大学ささやま医療センター 地域総合医療学講座DELIMITER兵庫医科大学病院 内科学 上部消化管科)
共同演者 橋本 学(兵庫医科大学ささやま医療センター 地域総合医療学講座), 滝 正登(兵庫医科大学ささやま医療センター 地域総合医療学講座DELIMITER兵庫医科大学病院 内科学 上部消化管科), 西井 真(兵庫医科大学ささやま医療センター 地域総合医療学講座), 山本 憲康(兵庫医科大学ささやま医療センター 地域総合医療学講座), 下村 壯治(兵庫医科大学ささやま医療センター 地域総合医療学講座), 樋田  信幸(兵庫医科大学病院 内科学 下部消化管科), 渡 二郎(兵庫医科大学病院 内科学 上部消化管科), 三輪 洋人(兵庫医科大学病院 内科学 上部消化管科)
抄録 【はじめに】便秘に伴うS状結腸及び直腸の宿便は高齢者を中心に一般的にみられる病態であるが、宿便に伴い糞便性腸閉塞及び閉塞性大腸炎、宿便性潰瘍等の重篤な合併症を引き起こす事が知られている。宿便性大腸潰瘍は腸管内に停滞した糞便による粘膜の圧迫及び壊死により生じる潰瘍であり、糞便による機械的な圧迫により腸粘膜の虚血状態が生じる事により出血、穿孔及び腸管壊死等の重篤な症状を引き起こすとされている。【症例】60歳台女性。元来便秘症であったが緩下剤等の服用行っていなかった。約1週間前より排便認めず、2日前より腹部膨満感及び嘔吐認めた為、近医受診。近医にて浣腸、緩下剤投与されるも症状改善認めず当科紹介受診となった。当院で施行した腹部CT検査でS状結腸にhigh densityの糞便の貯留を認め、同部位より口側の結腸及び回腸にかけて著明な腸管拡張認め宿便による糞便性腸閉塞と診断。同日より当院入院の上で加療を開始した。第1病日に経肛門的に閉塞解除を試みるも硬便のため処置困難であり経鼻的にイレウスチューブ留置を行った。以後は絶食、腸管減圧及び緩下剤投与等の保存的加療で排便認め、症状改善を認めた。第6病日に施行した下部消化管内視鏡検査でS状結腸に多発する深掘れの類円形の潰瘍認め、潰瘍周囲に膿汁の付着及び一部穿孔を疑わせる所見を認めた。また、潰瘍より口側の腸管は一部虚血性変化を認めていた。内視鏡検査直後に施行した腹部造影CTではfree airや膿瘍形成は認めず保存的加療を継続した。以後も症状増悪みられずイレウスチューブ抜去行い食事再開とした。その後も症状増悪認めず、第27病日に再度施行した下部消化管内視鏡検査で潰瘍の瘢痕化及び肉芽形成を認めたため軽快退院となった。【結語】今回我々は保存的に加療が行え、また内視鏡にて治癒までの経過を追う事が可能であった宿便性大腸潰瘍の一例を経験したので文献的考察を加えて報告する。
索引用語 宿便性潰瘍, 糞便性腸閉塞