セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 37:憩室出血を契機に発見された脂肪肉腫の一例 |
演者 | 川勝 雪乃(京都第二赤十字病院 消化器内科) |
共同演者 | 藤井 康智(京都第二赤十字病院 消化器内科), 和田 浩典(京都第二赤十字病院 消化器内科), 上田 悠揮(京都第二赤十字病院 消化器内科), 白川 敦史(京都第二赤十字病院 消化器内科), 岡田 雄介(京都第二赤十字病院 消化器内科), 真田 香澄(京都第二赤十字病院 消化器内科), 中瀬 浩二朗(京都第二赤十字病院 消化器内科), 萬代 晃一朗(京都第二赤十字病院 消化器内科), 鈴木 安曇(京都第二赤十字病院 消化器内科), 河村 卓二(京都第二赤十字病院 消化器内科), 河端 秀明(京都第二赤十字病院 消化器内科), 宮田 正年(京都第二赤十字病院 消化器内科), 盛田 篤弘(京都第二赤十字病院 消化器内科), 田中 聖人(京都第二赤十字病院 消化器内科), 宇野 耕治(京都第二赤十字病院 消化器内科), 安田 健治朗(京都第二赤十字病院 消化器内科), 中村 吉隆(京都第二赤十字病院 外科), 谷口 弘毅(京都第二赤十字病院 外科), 桂 奏(京都第二赤十字病院 病理診断科) |
抄録 | 【症例】74才、男性【主訴】血便【既往歴】特記事項なし【現病歴】血便を主訴に当院救命センターを受診された。15年来左鼠径部に腫瘤を自覚していたが、放置していた。【受診時現症】バイタルサインに異常を認めなかった。腹部は軽度膨満しているが明らかな腫瘤を触知せず、圧痛を認めなかった。左鼠径部に腫瘤を認めた。【経過】血便精査目的の腹部単純CTで大腸に複数の憩室を認め、臨床経過と併せて憩室出血が疑われた。CTではその他に肝門部と骨盤内に認めたそれぞれ15cm以上の腫瘤を中心として、腫瘤が多発していた。肝門部の腫瘤は嚢胞状変化を示しており、骨盤内の腫瘤はほとんどが脂肪濃度で、一部に軟部濃度を認めた。腫瘤が上行結腸を腹側に圧排していることから、後腹膜より発生していると考えられた。大腸や小腸は腹側や左側に圧排され、左鼠径ヘルニアを来していた。腫瘤は後腹膜より発生した脂肪肉腫と考えられたが、転移を示唆する所見は認めなかった。後日施行した下部消化管内視鏡検査で上行結腸に凝血塊を伴う憩室を認め、クリップを用いて縫縮して以降血便を認めなかった。後腹膜腫瘍に対しては、開腹下後腹膜腫瘍摘出術を施行した。腫瘍は肝門部の18cm大、骨盤内の17cm大の腫瘤をはじめ、計10個、4318gが摘出された。横行結腸との癒着は認めたが、他臓器への浸潤所見は認めなかった。病理所見は部位により多様性があり、全体としては分化型脂肪肉腫成分が優位な脱分化型脂肪肉腫で、一部に粘液型脂肪肉腫様所見を認め、混合型であると考えられた。【考察】脂肪肉腫は、緩徐に発育し、無症状であることが多いため、偶然発見されることがある。病理組織学的に、高分化型、粘液型、多形型、脱分化型、混合型の5つに分類される。高分化型の頻度が最も高く、比較的予後良好である一方、脱分化型は再発転移が多く、予後不良とされる。治療法は外科的切除が第一選択であるが、根治切除後も高い確率で再発を来す。【結語】憩室出血を契機に偶然発見された脂肪肉腫を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 脂肪肉腫, 憩室出血 |