セッション情報 一般演題

タイトル 02:

好酸球浸潤を伴った原発性腸リンパ管拡張症の一例

演者 氣賀澤 斉史(大阪大学 消化器内科)
共同演者 新崎 信一郎(大阪大学 消化器内科), 加藤 元彦(大阪大学 消化器内科), 辻 洋美(大阪大学医学部附属病院 病理部), 重川 稔(大阪大学 消化器内科), 赤坂 智史(大阪大学 消化器内科), 江崎 久男(大阪大学 消化器内科), 阪森 亮太郎(大阪大学 消化器内科), 藥師神 崇行(大阪大学 消化器内科), 西田 勉(大阪大学 消化器内科), 巽 智秀(大阪大学 消化器内科), 飯島 英樹(大阪大学 消化器内科), 大川 和良(大阪大学 消化器内科), 平松 直樹(大阪大学 消化器内科), 辻井 正彦(大阪大学 消化器内科), 森井 英一(大阪大学医学部附属病院 病理部), 竹原 徹郎(大阪大学 消化器内科)
抄録 症例は10代後半男性。主訴は腹痛、下痢。5歳時に下痢、全身性浮腫、胸腹水、低蛋白血症を認め、前医にて精査を施行された。α1アンチトリプシンクリアランス試験および 99mTc-HASシンチグラフィから蛋白漏出性胃腸症と診断された。大腸粘膜生検にて形質細胞、好酸球の浸潤を認めたため、原因として好酸球性胃腸炎が疑われた。その後クロモグリク酸やプレドニゾロン(1.5mg/kg/日)を投与されたが、低蛋白血症の改善は認めず、以後無投薬で経過観察されていた。その後も下痢、腹痛および低蛋白血症は持続しており、高校卒業を契機に精査加療を希望され当科紹介となった。血液検査では白血球8390/μl(リンパ球511/μl、好酸球 1720/μl)、総蛋白4.3g/dl、アルブミン2.7g/dlとリンパ球低下、好酸球増加と低蛋白血症を認めた。上部消化管内視鏡検査では明らかな異常所見は認めず、下部消化管内視鏡検査でも大腸に異常所見を認めなかったが、回腸末端からバウヒン弁にかけて散布性白点を認めた。腹部造影CT検査で小腸壁の肥厚を認めた。そこでバルーン小腸内視鏡を施行したところ空腸から回腸にかけて広範に散布性白点を認め、同部位からの生検で粘膜層にリンパ管の拡張を認めた。以上から腸リンパ管拡張症による蛋白漏出性胃腸症と判断し、他に原因を認めないことから原発性腸リンパ管拡張症と診断した。小腸粘膜および大腸粘膜生検では、20/HPFの好酸球浸潤を認め好酸球性胃腸症の合併も疑ったが、過去のプレドニゾロン加療が無効だったことより蛋白漏出性胃腸症の原因ではないと判断した。低脂肪食での加療を開始したところ、腹痛・下痢症状は改善し、血性アルブミンも3.8g/dlと上昇を認め、現在も外来通院中である。腸リンパ管拡張症は比較的稀な疾患であり、また検索内では好酸球増加を伴った腸リンパ管拡張症の報告は認めなかった。今回、貴重な一例を経験したので文献的考察を加えて報告する。
索引用語 蛋白漏出性胃腸症, 腸リンパ管拡張症