セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F1-06:

EUS-FNAを用いて診断し得た同時性乳癌胃転移の一例

演者 井戸 晴香(大津市民病院 臨床研修センター)
共同演者 岩井 直人(大津市民病院 消化器内科), 森田 幸弘(大津市民病院 消化器内科), 田中 順子(大津市民病院 消化器内科), 寄木 浩行(大津市民病院 消化器内科), 藤井 恒太(大津市民病院 消化器内科), 高田 龍介(大津市民病院 消化器内科), 高谷 宏樹(大津市民病院 消化器内科), 益澤 明(大津市民病院 消化器内科), 松本 尚之(大津市民病院 消化器内科), 高見 史郎(大津市民病院 消化器内科), 若林 直樹(大津市民病院 消化器内科), 橘 強(大津市民病院 外科), 洲崎 聡(大津市民病院 外科), 柳橋  健(大津市民病院 外科), 益澤 尚子(大津市民病院 病理科), 濱田 新七(大津市民病院 病理科)
抄録 【症例】60歳、女性。
【現病歴】2010年から左乳頭陥没及びしこりを自覚していたが放置していた。2010年3月初旬頃から胸やけを感じ、時々嘔吐するようになった。近医にて逆流性食道炎と診断され内服薬を処方されたが、症状改善することなく徐々に悪化した。4月中旬他院に受診し、腹部超音波検査と上部消化管内視鏡検査で幽門狭窄症と診断され当院紹介受診となった。入院時の胸部造影CTでは左乳房のC領域に22×28mmの腫瘤性病変を認めた。腹部造影CTでは胃前庭部から十二指腸球部に全周性の壁肥厚を認め、内腔は狭小化していた。胃小弯側や肝門部にリンパ節の腫大を認め、L5-S1に不整な骨硬化像や溶骨像を認めた。
入院当初は進行胃癌による幽門狭窄症を疑っていたが、上部消化管内視鏡で上皮性変化がないこと、乳癌の針生検で消化管転移の多いとされている浸潤性小葉癌を認めた事、すでにリンパ節・骨転移を来たすほど進行した乳癌であったことから乳癌胃転移の可能性が高いと考えられた。再度上部消化管内視鏡検査を施行し、狭窄部で通常の鉗子生検及びボーリング生検を行なったが、腫瘍細胞は得られなかった。治療方針決定のため、組織学的診断が必要と考えられ、EUS-FNAを施行した。19G生検針で得られた組織は、先に針生検で得られた乳癌組織と類似しており、免疫組織化学の結果ER陽性、PgR陰性、HER2陰性、E-cadherin陰性であったことから乳癌胃転移と診断し得た。以上からリンパ節・骨・胃転移を伴う左進行乳癌で胃転移による幽門狭窄症を合併している状態と判断した。治療に関して当院外科と相談し、乳癌に対する全身化学療法(CEF療法)を施行することとなった。化学療法2クール目終了後、経鼻内視鏡が幽門狭窄部を通過するようになり、幽門狭窄症状は消失した。
【考察】今回EUS-FNAを用いて診断し得た乳癌胃転移の一例を経験したため、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 EUS-FNA, 乳癌胃転移