セッション情報 一般演題

タイトル 11:

経過を観察できた異所性肝細胞癌の1例

演者 太田 高志(NTT西日本大阪病院 消化器内科)
共同演者 楠本 侑弘(NTT西日本大阪病院 消化器内科), 伊藤 麻里(NTT西日本大阪病院 消化器内科), 山本 守敏(NTT西日本大阪病院 消化器内科), 巽 信之(NTT西日本大阪病院 消化器内科), 金子 晃(NTT西日本大阪病院 消化器内科)
抄録 症例は80歳代男性。COPD、糖尿病、高血圧症のため当院に通院中であった。スクリーニングの胸部CTで左横隔膜下にSOLを認め、精査目的で当科紹介受診となった。造影CTでは脾臓の腹側に5cm大の分葉状の腫瘤を認め、早期相で不均一な造影効果を認めた。周囲臓器との連続性は認められず腸間膜由来の腫瘍性病変が疑われた。同時期に撮影したPET-CTでは左横隔膜下の腫瘍に弱いFDG集積を(SUVmax=2.1)を認め、腫瘍マーカーはAFPのみ高値(712ng/ml)であった。画像上、GISTや悪性リンパ腫を疑い外科的切除を検討したが、COPDのため全身麻酔の危険が高いことや本人の希望から経過観察とされた。その後は約半年毎の腹部CTで経過観察を行われていたが、3年後に左横隔膜下腫瘍の増大と多発する肝腫瘤を認め、左横隔膜に多発する結節も認めた。左横隔膜下腫瘍と肝腫瘤はいずれも同様の造影パターン(早期濃染とwashout)を認めたため、肝腫瘍は横隔膜下腫瘍の転移と考えられた。治療方針の決定のためエコーガイド下に肝腫瘍生検を行ったところHCCと診断された。初回診断時には左横隔膜下腫瘍を認めるのみで、肝腫瘍は認めなかったことから、左横隔膜下腫瘍は異所性肝細胞癌であり、肝腫瘍は転移巣であると考えられた。現在は無症状であり本人の希望もあって無治療で経過観察中である。本症例は左横隔膜下に発生した異所性肝細胞癌であり、経過が追えた例は非常に稀であり文献的考察を含め報告する。
索引用語 異所性肝細胞癌, 腹腔内腫瘍