セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F2-05:

C型慢性肝炎に合併した細胆管細胞癌の一例

演者 津留 真理(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科)
共同演者 佐々木 翔(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 末吉 伸行(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 矢野 雄飛(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 山岡 優子(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 廣吉 康秀(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 杤谷 四科子(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 藤田 光一(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 松木 信之(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 阿南 会美(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 阿南 隆洋(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 松井 佐織(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 渡辺 明彦(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 菅原 淳(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 菅原 悦子(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 藤田 剛(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 向井 秀一(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 粟津 正英(淀川キリスト教病院 消化器センター 外科), 土田 忍(淀川キリスト教病院 消化器センター 外科), 寺村 一裕(淀川キリスト教病院 病理診断科)
抄録 症例は70歳代男性。既往歴として特記すべき事項はなし。1998年よりC型慢性肝炎で当科に通院中であった。2013年2月の腹部エコー、単純CTで肝S2に23mm大の肝腫瘤を認め、精査加療目的に入院となった。身体所見として特に有意なものは認めず、血液検査ではCEA、CA19-9、AFP、PIVKA-2、の上昇は認めなかった。 EOB造影MRIでS2にT1W1で低信号、T2WIで淡い高信号、早期相で不均一に造影され、後期相でwash out される22mm大の病変を認めた。また、S5にT1WI・T2WIで等信号、脂肪抑制法で低信号の7mm大の病変を認めた。両病変ともに肝細胞相では取り込みを認めなかった。肝癌の鑑別目的で血管造影下CTを撮影すると、S2の腫瘤はCTHAの早期相では辺縁濃染がみられ、後期相では内部まで濃染された。CTAPでは造影欠損像を認めた。S5の腫瘤は、CTHA、CTAPともに低吸収を示した。S2の腫瘤に関して画像所見は肝細胞癌に典型像ではなく、鑑別診断として細胆管癌や硬化型肝細胞癌、混合型肝癌などが考えられた。確定診断のため腫瘍生検を行い、肝細胞癌と診断した。多発肝細胞癌の診断で肝外側区域切除術、開腹下マイクロ波凝固療法を行った。摘出標本は27mm大の白色腫瘍で、腫瘍細胞は線維性間質をともない、小型で不規則な腺管を形成増生し、増殖先端部では既存の肝細胞索との連続を示唆する部分を認め細胆管細胞癌と診断した。明らかなリンパ管侵襲や血管侵襲は認めなかった。  細胆管細胞癌は原発性肝癌のおよそ0.5%にみられる稀な疾患であり、肝内胆管癌の一亜型とされてきたが、2008年の『原発性肝癌取扱い規約』(第5版)より一つの独立した原発性肝癌に分類された。中高年男性に多く、慢性肝炎を併存することが多い。幹細胞由来の可能性があると指摘されており、一部に肝細胞癌あるいは肝内胆管癌類似の組織像を伴うことがあるとされており,肝細胞癌との鑑別が困難である。今回,腫瘍生検で肝細胞癌ろ診断したが、術後細胆管細胞癌と診断した1例を経験したので報告する。
索引用語 肝臓, 腫瘍