セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y2-05:

C型肝硬変による肝細胞癌に対し、5回目のTAIが著効した一例

演者 木村 晋也(大阪労災病院 消化器内科)
共同演者 法水 淳(大阪労災病院 消化器内科), 工藤 慎之輔(大阪労災病院 消化器内科), 福岡 誠(大阪労災病院 消化器内科), 前阪 和城(大阪労災病院 消化器内科), 白井 久美子(大阪労災病院 消化器内科), 岡原 徹(大阪労災病院 消化器内科), 中村 昌司(大阪労災病院 消化器内科), 奥田 悠紀子(大阪労災病院 消化器内科), 神下 真慶(大阪労災病院 消化器内科), 平尾 元宏(大阪労災病院 消化器内科), 山本 俊祐(大阪労災病院 消化器内科), 西山 雅子(大阪労災病院 消化器内科), 小森 真人(大阪労災病院 消化器内科), 前田 宗宏(大阪労災病院 放射線科), 吉原 治正(大阪労災病院 消化器内科)
抄録 症例は74歳、男性。C型肝硬変で外来通院中であったが2011年6月腹部造影CT、EOB-MRIにて肝S2に径1.8 cmの肝細胞癌 (HCC) を指摘、7月に同病変に対しRFAを施行した。施行後のCTで、マージンを含めHCCは焼灼領域内に含まれており、治療効果は良好と考えた。しかし2012年3月の腹部造影CTにて肝両葉に多発するHCCの再発を認め、同年4月、9月に全肝TACEを施行した。しかし効果に乏しく、肝予備能もChild-Pugh分類でBであることから、2013年2月、7月にシスプラチン90mg (A2 13mg、A3 13mg、右肝動脈 64mg)投与のTAIを施行した。しかし、CTでの評価ではやはり効果に乏しく、治療方法変更も考えたが、肝機能、腎機能も考慮し、9月に再度TAIを上記と同様の薬剤、容量で行った。1か月後の造影CTにて肝両葉のHCCのほとんどは縮小しており、早期濃染も消失していた。腫瘍マーカーもAFP 1790→17、PIVKA-2 8134→14と劇的に減少しており、5回目のTAIが著効を示したと考えられた。これまではTACE施行後早期局所もしくは異所再発を2回以上繰り返した症例をTACE不応と定義され、ソラフェニブ等の次の新たな治療方法を模索する必要性を肝癌診療ガイドライン(2009)では指摘しているが、今回の症例のようなケースがある以上、TACEもしくはTAIを繰り返す方が予後の改善が可能となる場合が少数ながら存在すると考えられる。今回我々はC型肝硬変による肝細胞癌に対し、4回目までのTACE/TAIでは効果を認めず、5回目のTAIにて著明な治療効果を認めた一例を経験したため、文献的考察を加え報告する。
索引用語 TAI, HCC