セッション情報 一般演題

タイトル 12:

初発肝細胞癌治療後の異所再発例についての検討

演者 澤田 保彦(奈良県立奈良病院 消化器内科)
共同演者 中谷 敏也(奈良県立奈良病院 消化器内科), 藤永 幸久(奈良県立奈良病院 消化器内科), 才川 宗一郎(奈良県立奈良病院 消化器内科), 下里 直隆(奈良県立奈良病院 消化器内科), 永松 晋作(奈良県立奈良病院 消化器内科), 松尾 英城(奈良県立奈良病院 消化器内科), 菊池 英亮(奈良県立奈良病院 消化器内科)
抄録 【目的】肝細胞癌は多中心性発癌を特徴とするが、今回、初発肝癌に対してRFAを施行し局所制御が確認できた症例で、異所再発に寄与する因子について検討した。【方法】2002年4月から2013年6月にRFAを施行した348例中、初発HCCに対しRFAを施行し、画像で追跡しえた89例を対象とした。RFA後再発症例のうち局所再発例を除いた異所再発例(A群)と、再発を認めない無再発例(B群)とで背景因子を比較検討した。【成績】A群は22例、B群は33例であり、平均観察期間は633±550日であった。両群(A群 vs B群)の背景因子を比較すると、年齢(69±8.5vs70±11)歳、性別男/女(15/7vs22/11)、結節径(21±6.2vs20±7.4)mm、Child Pugh score(5.5±0.8vs5.4±0.9)、Plt(11±6.2vs13±6.3)万/μl、ALT(50±26vs45±57)IU/l、Alb(3.7±0.5vs3.8±0.8)g/dl、ChE(116±64vs214±86)IU/l、PT(87±18vs97±18)%、HPT(68±20vs72±19)%、AFP(27±29vs645±3389)ng/ml、PIVKA2(112±263vs113±159)mAU/ml、BCAA製剤服用率(41vs27)%、ウルソ服用率(59vs48)%、SNMC(14vs9)%であった。線維化関連因子(Plt)、年齢、肝予備能(Child Pugh score、PT、HPT)、腫瘍マーカー(AFP、PIVKA2)に差を認めなかったが、ChEのみA群において有意に低値であった(p<0.01)。また単変量解析により異所再発に寄与する因子としてChEが抽出された。Etiology HBV/HCV/NBNCの内訳はA群1/17/4例、B群7/21/5例であった。HBV陽性者をみると、核酸アナログ製剤投与率はA群100%(1/1)、B群57%(4/7)であり、全例HBVDNAは2.5Log copies/mL以下であった。次に、HCV陽性者をみるとBCAA服用状況はA群41%(7/17)、B群24%(5/21)、IFN治療はA群6%(1/17)、B群33%(7/21)(p=0.03)で行われていた。HCV陽性者において単変量解析により異所再発に寄与する因子として、ChEとIFN治療歴が抽出され、多変量解析ではChEのみであった。【結論】初発肝細胞癌治療後において、ChEが低値の症例は肝細胞癌の再発をきたしやすく慎重な経過観察を要する。
索引用語 肝細胞癌, 再発因子