共同演者 |
藤原 新也(市立枚方市民病院), 奥田 篤(市立枚方市民病院), 鈴鹿 真理(市立枚方市民病院), 中平 博子(市立枚方市民病院), 扇谷 大輔(市立枚方市民病院), 本合 泰(市立枚方市民病院), 井上 仁(市立枚方市民病院), 木下 隆(市立枚方市民病院), 林 道廣(大阪医科大学附属病院), 上野 浩(市立枚方市民病院), 樋口 和秀(大阪医科大学附属病院) |
抄録 |
【症例】60歳代、男性。【主訴】なし。【既往歴】40歳代より関節リウマチに罹患し、MTXを内服している。【現病歴】当院人間ドッグで施行した腹部エコーにて、肝に高エコー結節を指摘された。精査目的で施行した腹部造影CTで肝S7に濃染域を認め、肝細胞癌を疑った。【入院時現症】脈拍 76/分、整 血圧 148/90mmHg。肝・脾は触知せず。圧痛、自発痛なし。腸蠕動音正常。【検査所見】WBC:4010/μl, CRP:0.3mg/dl, Hb:16.0g/dl, Plt:179×103/μl, AST:19U/l, ALT:27U/l, LDH:213U/l, ALP:218U/l, γ-GTP:33U/l, T-Bil:0.69mg/dl, BUN:16.9mg/dl, Cr:0.68mg/dl, RF:44.5IU/ml, ESR:10mm, CEA:0.7ng/ml, CA19-9:4.9U/ml, AFP:2.3ng/ml, PIVKA-2:15mAU/ml, HBs Ag:陰性, HBs Ab:陰性, HCV Ab:陰性【画像検査】人間ドッグ時のエコーでは肝S5に径5mmの高エコー結節を2個認めた。造影CTでは肝S5には病変は指摘できなかったが、肝S7に動脈相で強く濃染し、平衡相で周囲と等吸収となる不整形病変を認めた。MRIではT1および拡散強調にて軽度高信号を、T2で軽度高信号を呈した。EOB-MRIでは動脈相および門脈相にて濃染し、肝細胞相にて低信号を呈していた。再度施行したエコーでは、S7に境界不明瞭でhaloを伴わない低エコー領域が描出された。造影エコーでは同病変は早期動脈相で濃染しFill-in patternは認めなかったが、Kupffer相でも造影効果は残存していた。【入院後経過】造影CTの早期濃染や造影MRIの所見では肝細胞癌を疑ったが、造影CTの平衡相で等吸収となる点や、造影エコーにてKupffer相で造影効果が残存する点は非典型的であった。上記検査中、ヨード造影剤でアレルギーが出現したために血管造影は施行できず、診断的治療目的に肝区域切除を施行した。病変はホルマリン固定後に不規則な小斑状の血液貯留領域を呈し、病理組織では肝紫斑病と診断された。【結語】肝紫斑病は症例の蓄積が少なく、現時点では典型的な画像所見が確立されていない。確定診断のためには、生検や腹腔鏡検査、各種画像所見の組み合わせることや、既往歴や内服歴など原因となる因子にも留意する必要がある。 |