セッション情報 ワークショップ1「肝細胞癌治療の現況と展望」

タイトル W1-02:

当院における肝細胞癌治療の現況とバルーン閉鎖下肝動脈化学塞栓療法(B-TACE)の初期経験について

演者 藤原 新也(市立枚方市民病院)
共同演者 本合 泰(市立枚方市民病院), 樋口 和秀(大阪医科大学 第2内科)
抄録 <目的>当院では肝癌診療ガイドラインに基づいて肝切除、RFA、TACE、分子標的治療等の肝癌治療を行っている。しかし、近くに大学病院がある環境での当院への紹介患者で肝切除やRFA、分子標的治療剤投与症例は限られているのが現状である。そのため当院ではTACE症例が多く、治療効果を高める工夫として本年よりバルーン閉鎖下肝動脈化学塞栓療法(Balloon occluded transcatheter arterial chemoembolization;以下B-TACE)を積極的に導入している。B-TACEはlipiodol emulsionの集積を増強させ、TACEの治療効果を高める治療法として注目されてきている。現在までのべ19症例に対してB-TACEを施行した。当院におけるB-TACEの現状を報告する。<方法>使用デバイスとしてguiding catheterは、4Fr又は5.1FrのJ型又はshepherd Hook型catheter(4Fr Selecon PA 、5.1Fr Elway)を使用した。Balloon catheterは、3Fr又は4Frのmicro Balloon catheter(Attendant)を、guide wireは、0.014inchのmicro guidewire(GT wire)を用いた。抗癌剤はアイエーコール、ミリプラチン、エピルビシンを症例に応じて使用した。腫瘍の存在部位や大きさからRFAの適応がないあるいは困難である単発又は局所制御を必要とする多発肝癌に対してB-TACEの適応対象とした。治療効果は原発性肝癌取扱い規約の「日本肝癌研究会 肝癌治療直接効果判定基準」に準じ、治療後1ケ月以降のCTにて、標準結節治療効果判定度(Treatment effect:TE)で判定した。<結果>TEはTE4;2例、TE3;8例、TE2;6例、TE1;0例、判定未;3例であった。有害事象として重篤なものはなかったが、特徴的な所見として肝障害(ALT上昇)のピークが治療翌日ではなく、数日後に認められる症例がほとんどであった。しかし、いずれも経過観察可能であった。<結語>今回、我々は19症例に対してB-TACEを行ったが、どのような症例にB-TACEが有効なのかまだ判然としない。しかし、通常のTACEと治療効果及び有害事象を比較することによって現状での当院でのB-TACEの位置づけについて報告する。
索引用語 肝癌, B-TACE