セッション情報 シンポジウム「メタボリックシンドロームと肝胆膵疾患」

タイトル S-06:

NAFLDの肝線維化にかかわるメタボリックシンドロームの危険因子:非侵襲的肝線維化スコアFIB-4 indexを用いた検討

演者 赤羽 たけみ(奈良県健康づくりセンター)
共同演者 福居 健一(奈良県健康づくりセンター), 福井 博(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科)
抄録 【目的】FIB-4 index(FIB-4)は肝線維化の進行度を非侵襲的に診断するスコアとして有用であることが報告されている。NAFLDにおけるメタボリックシンドローム(MS)およびその危険因子とFIB-4の関連について検討した。【方法】2012年度に当センター人間ドックを受診した4637名のうち、HBs抗原陰性かつHCV抗体陰性、アルコール摂取量20g/日未満である3186例(男性1262例、女性1924例、平均年齢53.1±9.0歳、17-89歳)を対象とした。腹部超音波検査で脂肪肝と診断されたものをNAFLDとし、MSの診断は特定健診のMS診断基準を用いた。FIB-4のlow cut-off index (COI)の<1.3を低値群、high COIの>2.67を高値群、1.3-2.67を中間値群に分類しMS危険因子との関連について検討した。 【成績】NAFLDの頻度は全対象者では29.9%(954例)であったが、MS非該当18.1%(445/2453)、予備群該当60.8%(231/380)、該当78.8%(278/353)と次第にその頻度は高くなり3群間に有意差を認めた。NAFLD例においてFIB-4はMS非該当1.07±0.40、予備群該当1.08±0.44、該当1.12±0.44と3群間に有意差を認めなかった。また、高血圧あるいは耐糖能異常を合併する例のFIB-4は、合併しない例に比べてそれぞれ有意に高かったが、肥満、高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症の有無ではFIB-4に有意差を認めなかった。さらに、FIB-4低値、中間値、高値群の3群間の比較では、BMI、腹囲、HDLコレステロールに有意差を認めなかったが、収縮期血圧、空腹時血糖、HOMAはFIB-4が高くなるほど有意に高値を示し、中性脂肪は有意に低値を示した。肥満、高血圧、耐糖能異常、高中性脂肪血症を独立因子としたロジスティック回帰分析では、FIB-4 1.3以上に寄与する因子は高血圧(odds ratios=1.82, 95% CI 1.35-2.48)と耐糖能異常(odds ratios=1.66, 95% CI 1.19-2.32)のみであった。【結論】NAFLDの肝線維化に関連する因子として高血圧と耐糖能異常が考えられ、肥満のない症例でもこれらを合併している場合は肝線維化の進展を念頭におくべきであることが示唆された。
索引用語 NAFLD, FIB-4 index