セッション情報 一般演題

タイトル 31:

炎症性腸疾患合併消化器癌に対する化学療法の経験

演者 内藤 敦(大阪大学 医学部 消化器外科)
共同演者 水島 恒和(大阪大学 医学部 消化器外科), 中島 清一(大阪大学 医学部 消化器外科), 植村 守(大阪大学 医学部 消化器外科), 西村 潤一(大阪大学 医学部 消化器外科), 畑 泰司(大阪大学 医学部 消化器外科), 竹政 伊知朗(大阪大学 医学部 消化器外科), 山本 浩文(大阪大学 医学部 消化器外科), 土岐 祐一郎(大阪大学 医学部 消化器外科), 森 正樹(大阪大学 医学部 消化器外科)
抄録 【はじめに】クローン病(CD)や潰瘍性大腸炎(UC)といった炎症性腸疾患(IBD)罹患者では非罹患者に比べ小腸癌,大腸癌発生率が高いことが知られている.通常の進行大腸癌に対する化学療法は近年成績の向上が報告され,多様化している.一方,IBD合併大腸癌に対する化学療法は大腸全摘術や小腸切除,腸管機能障害の為,有害事象が発生しやすいと予想されるが,化学療法に関する報告はほとんどみられない.今回我々はIBD合併癌に対する化学療法を経験し,安全性と成績に関しての検討を行った.【対象と方法】2003年4月から2013年11月までの当院におけるIBD合併小腸大腸癌に対して化学療法を要した8症例を対象とした.【結果】 対象症例は男性5例,女性3例であり,CD5例(全例小腸大腸型,(大腸癌4例,小腸癌1例)),UC3例(全例全大腸炎型,全例大腸癌),年齢(中央値)45歳(37-59歳),performance statusは0か1であった.化学療法の目的は術後補助化学療法3例(17, 15, 16ヶ月無再発生存中),転移再発進行癌に対する化学療法5例(9, 15, 16ヶ月原病死,11ヶ月生存中2例)であった.Grade3以上の有害事象は下痢3例(30%),脱水2例(20%),体重減少2例(20%),全身倦怠感2例(20%),AST/ALT上昇1例(10%)であり,Grage3の下痢を認めた3例は全例CDであった.Grade3の下痢を認めた1例は投与薬剤の減量を要したが,他はIBDのコントロール治療のみで継続可能であった.【まとめ】 クローン病合併癌に対する化学療法有害事象は下痢の出現が強く,同様の症例で下痢に追随する有害事象が見られた.USに比べCDにおいて下痢が問題になることが多かったが,施行可能であった.
索引用語 炎症性腸疾患, 化学療法