セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年迄) |
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タイトル | Y3-05:小腸への瘻孔を伴う小腸GISTの一例 |
演者 | 細谷 和也(神戸市立医療センター 中央市民病院) |
共同演者 | 井上 聡子(神戸市立医療センター 中央市民病院), 南出 竜典(神戸市立医療センター 中央市民病院), 北本 博規(神戸市立医療センター 中央市民病院), 小川 智(神戸市立医療センター 中央市民病院), 高島 健司(神戸市立医療センター 中央市民病院), 福島 政司(神戸市立医療センター 中央市民病院), 和田 将弥(神戸市立医療センター 中央市民病院), 占野 尚人(神戸市立医療センター 中央市民病院), 鄭 浩柄(神戸市立医療センター 中央市民病院), 杉之下 与志樹(神戸市立医療センター 中央市民病院), 岡田 明彦(神戸市立医療センター 中央市民病院), 猪熊 哲朗(神戸市立医療センター 中央市民病院), 今井 幸弘(神戸市立医療センター 中央市民病院) |
抄録 | 【背景】近年、小腸腫瘍の診断におけるダブルバルーン内視鏡(DBE)の有用性が報告されている。今回我々は、小腸への瘻孔を伴う小腸GISTの一例を経験したので報告する。【症例】56歳女性。2013年8月、左側腹部痛を主訴に近医を受診し、Hb 8.7g/dlの貧血を指摘され、腹部CTを施行したところ、腹腔内に径8cm程度の腫瘤を認め、当院を紹介受診した。腫瘍マーカーではCEA、CA19-9、CA125は正常範囲で、IL2Rは535U/mlと高値であった。前医の上部内視鏡では貧血の原因となりうる異常を認めず、当院で施行した下部内視鏡でも特記すべき異常を認めなかった。腹部造影CTにて、内部に空気と液体成分を含む径9cm程度の造影効果を伴う腫瘍を認めた。拡張した腸管と小腸壁の肥厚と考え、悪性リンパ腫が疑われた。腹部USでも同様に内部にガス像を伴う血流豊富な腫瘍を認めたが、腸蠕動による移動は認めず、内部にガスを含む小腸外の充実性腫瘍の可能性も考えられた。PETでは同腫瘍にFDG集積 (SUVmax=9.1)を認めたが、その他リンパ節を含め異常集積は認めなかった。9月精査目的に経口的DBEを施行、トライツ靭帯を越えてすぐの上部空腸に、表面に小さなびらんを伴う粘膜下腫瘍(SMT)を認めた。びらんから白色膿汁の流出を認め、腫瘍内部の壊死巣との瘻孔が疑われた。生検では有意な所見は得られなかったが、小腸壁外に発育するSMT内部に空洞形成していると考えられ、GISTが疑われた。他臓器転移を疑う所見はなく、10月小腸部分切除術を施行した。病理検査の結果、粘膜下を主座とする充実性腫瘍の内部に空洞形成がみられ、小腸の瘻孔はこれに通じていた。組織学的には紡錘形細胞が部分的に出血を伴い、束状に配列しており、免疫染色ではCD34陽性、c-kit陽性であり、GISTと診断確定した。腫瘍径9.0×8.5×5.0cm、核分裂像は3個/50HPFであり、Miettinen分類で中間リスクと考えられた。今後、adjuvant療法を予定している。【結語】小腸への瘻孔を形成した小腸GISTの報告は稀であり、若干の文献的考察を加え、報告する。 |
索引用語 | 小腸, GIST |