セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年迄) |
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タイトル | Y3-06:消化管病変で発症し潰瘍性大腸炎との鑑別に苦慮したANCA関連血管炎(GPA/WG)の 1例 |
演者 | 森 義治(大津赤十字病院) |
共同演者 | 小澤 智美(大津赤十字病院), 松本 慎平(大津赤十字病院), 内海 貴裕(大津赤十字病院), 松本 淳(大津赤十字病院), 大野 千景(大津赤十字病院), 曽我部 裕子(大津赤十字病院), 西田 吉宏(大津赤十字病院), 稗田 信弘(大津赤十字病院), 三上 貴生(大津赤十字病院), 垣内 伸之(大津赤十字病院), 松永 康寛(大津赤十字病院), 友野 輝子(大津赤十字病院), 本庶 元(大津赤十字病院), 近藤 雅彦(大津赤十字病院), 西川 浩史(大津赤十字病院), 三宅 直樹(大津赤十字病院), 河南 智晴(大津赤十字病院) |
抄録 | 【症例】70歳代男性 【主訴】下痢,発熱 【既往歴】くも膜下出血,高血圧 【現病歴】来院約 2週間前から下痢を発症,次第に水様となり全身倦怠感,体重減少も認め,40℃を超す発熱も出現した為,当科外来初診.WBC 12,600 /mm3,CRP 12.6 mg/dlと炎症反応高値で,腹部US,腹部造影CTでは左側結腸壁肥厚と周囲脂肪織炎症波及が見られた.尿潜血,尿蛋白(+)で,虚血性大腸炎+尿路感染症の診断で同日緊急入院となった. 【経過】入院後絶食,補液,抗菌薬投与開始したが 39℃以上の弛張熱が持続,下痢は次第に頻回となり血性下痢へ移行し,更なる炎症反応上昇,貧血,低アルブミンの進行を認めた.下部消化管内視鏡検査で直腸から連続性に全周性びまん性の発赤浮腫を伴う粗造粘膜を認め,S状結腸以深に地図状の深掘れ潰瘍が多発していた.以上から潰瘍性大腸炎(UC)と診断,CMV感染合併も疑われたため 5-ASA 4,000 mg/日+顆粒球吸着療法 3回/週を開始した.症状はやや軽快傾向だったが間欠熱と 5~10行/日の血性下痢は持続していた.その後,口腔内アフタや左大腿有痛性皮膚潰瘍が出現,上部消化管内視鏡検査では食道・胃・十二指腸にびらん・潰瘍を認めた.PR3-ANCA 32.4 U/mlと高値で大腿潰瘍部皮膚生検から肉芽腫を伴う壊死性血管炎の像が得られ,ANCA関連血管炎に伴う大腸病変と診断した.入院当初認めた蛋白尿は消失していた.多発血管炎性肉芽腫症(GPA/WG)限局型軽症と判断,プレドニゾロン 70 mg/日の投与を開始し,投与翌日から解熱・下痢回数減少を認め,4日後にはCRP陰性化し,症状寛解後軽快退院となった.以後外来にてPR3-ANCA正常化を確認しつつステロイド漸減中である. 【考察】ANCA関連血管炎は全身諸臓器に病変が見られ,消化管病変を呈する例も散見される.しかしその内視鏡所見は特徴的な所見に乏しく,生検組織でも血管炎の所見が得られないことが多く,本疾患を念頭に置いた全身検索が重要である.今回我々は,内視鏡所見がUCに類似し診断に苦慮した 1例を経験したため,文献的考察を加えて報告する. |
索引用語 | PR3-ANCA, 大腸潰瘍 |