セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y3-07:

特発性成人腸重積症の1例

演者 北本 博規(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科)
共同演者 福島 政司(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 細谷 和也(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 南出 竜典(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 小川 智(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 高島 健司(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 和田 将弥(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 占野 尚人(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 井上 聡子(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 鄭 浩柄(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 藤田 幹夫(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 杉之下 与志樹(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 岡田 明彦(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 猪熊 哲朗(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 今井 幸弘(神戸市立医療センター中央市民病院 臨床病理科)
抄録 症例は30歳男性。2012年9月より間欠的腹痛を認めるようになり、近医を受診。腹部CT検査にて腸重積が疑われ、精査加療目的に同日当院へ搬送された。明らかな腸管虚血の所見を認めず、内視鏡的整復術を施行。回盲部に嚢胞性病変を認め、これが先進部となっていた。整復後は再発なく、後日腹部CT検査・下部内視鏡検査を再検したところ、回盲部の嚢胞性病変は消失し一過性の病態であったものと考えられた。しかし、CT検査で骨盤内小腸壁に腫瘤を認め、カプセル小腸内視鏡で精査を行ったところ、回腸にSMT様隆起があり、回腸下部から盲腸部まで断続的に多数の隆起性病変も認めた。11月に経肛門的ダブルバルーン内視鏡検査施行し、回腸中部に15mm大のSMTを認め点墨施行、回腸下部に多発する小隆起を組織生検しbenign lymphoid polyposisと診断した。また、検査時に回盲部の通過に難渋し、透視像から遊離盲腸が疑われた。小腸SMT・遊離盲腸治療目的に腹腔鏡下小腸部分切除術+盲腸固定術+虫垂切除術施行し、小腸SMTは異所性膵と診断された。成人腸重積症は比較的まれな疾患であり、小児腸重積の約90%が特発性であるのに対して、成人腸重積症の約90%は器質的疾患を背景としており、特発性の頻度はきわめてまれであるとされている。このため成人腸重積症の治療は外科的治療が第一選択とされているが、質的診断を正確に行うことで特発性成人腸重積症に対する過大侵襲を避けることができる。当院では過去6年間に本例を含めて5例の特発性成人腸重積の経験があり、自験例の特徴と文献から特発性成人腸重積症に若干の考察を加えて報告する。
索引用語 成人腸重積, 特発性