セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 08:甲状腺乳頭癌を契機に発見された家族性大腸腺腫症の1例 |
演者 | 南堂 吉紀(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科) |
共同演者 | 福井 広一(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 浅野 晴紀(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 坂本 明日香(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 瀧本 真弓(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 田村 彰朗(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 原 謙(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 滝 正登(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 山崎 尊久(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 河野 友彰(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 近藤 隆(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 豊島 史彦(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 櫻井 淳(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 戸澤 勝之(兵庫医科大学 内科学 下部消化管科), 池原 久朝(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 富田 寿彦(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 大島 忠之(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 堀 和敏(兵庫医科大学 内科学 下部消化管科), 東山 卓也(医療法人 神甲会 隈病院), 渡 二郎(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 三輪 洋人(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科) |
抄録 | 【症例】18 歳、女性【主訴】前頸部腫瘤【既存症】甲状腺乳頭癌【家族歴】父方の祖母が大腸癌【現病歴】平成 24 年頃より前頸部腫瘤に気付き近医受診した。近医で経過観察されていたが、セカンドオピニオン目的で平成 25 年 7 月他院を受診した。頸部エコーにて甲状腺に腫瘤を認めたため、甲状腺吸引細胞診を施行したところ、甲状腺 Cribriform-morula variant 型乳頭癌と診断された。同疾患は家族性大腸腺腫症を合併することがあるため、下部消化管精査目的にて平成 25 年 8 月当院当科紹介受診となった。【検査所見】下部消化管内視鏡検査では全結腸に 100 個以上(非密生型)の腺腫性ポリープを認めた。ポリープの病理検査では adenoma であり家族性大腸腺腫症と診断した。上部消化管内視鏡では穹窿部から体上部にかけて胃底腺ポリープの散在を認めた。小腸造影は明らかな異常所見を認めなかった。【考察】家族性大腸腺腫症に合併する甲状腺癌の頻度は 1~2 % と稀であり、そのほとんどは Cribriform-morula variant 型乳頭癌という特徴的な組織像を示すことが知られている。一方、この組織型の甲状腺乳頭癌は全甲状腺乳頭腺癌の 0.16 % であるが、家族性大腸腺腫症に合併する甲状腺乳頭癌の 88 % が Cribriform-morula variant 型乳頭癌であるという報告もある。言い換えればCribriform-morula variant 型乳頭癌は家族性大腸腺腫症に特異的な腫瘍と考えられる。Cribriform-morula variant 型乳頭癌は 20~30 歳台の若年女性に好発し、臨床的には転移が少なく予後良好といわれている。家族性大腸腺腫症は APC 遺伝子異常により大腸に腫瘍が多発する疾患であるが、本症例のように大腸外随伴病変を合併することがある。今回、我々は甲状腺 Cribriform-morula variant 型乳頭癌を契機に家族性大腸腺腫症の発見に至った一例を経験したため文献的考察を加えてここに報告する。 |
索引用語 | 家族性大腸腺腫症, 甲状腺乳頭癌 |