セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y5-04:

重症急性膵炎に伴うWalled-off necrosis(WON)に対して内視鏡的ネクロセクトミーが有効であった1例

演者 川路 祐輝(和歌山県立医科大学 第二内科)
共同演者 田村 崇(和歌山県立医科大学 第二内科), 奴田 絢也(和歌山県立医科大学 第二内科), 糸永 昌弘(和歌山県立医科大学 第二内科), 山下 泰伸(和歌山県立医科大学 第二内科), 前田 浩輝(和歌山県立医科大学 第二内科), 上田 和樹(和歌山県立医科大学 第二内科), 前北 隆雄(和歌山県立医科大学 第二内科), 井口 幹崇(和歌山県立医科大学 第二内科), 玉井 秀幸(和歌山県立医科大学 第二内科), 加藤 順(和歌山県立医科大学 第二内科), 伊佐山 浩通(東京大学 消化器内科), 一瀬 雅夫(和歌山県立医科大学 第二内科)
抄録 【はじめに】WONとは、壊死性急性膵炎の経過中に壊死した膵臓・脂肪が被胞化されたものであり、内部に壊死物質が多量に貯留している。WON感染例に対しては外科的治療が施行されてきたが、致死率が高く、治療困難であった。近年、WONに対してEndoscopic necrosectomy (EN)が有効とする報告が散見される。【症例】45歳男性。2013年4月に重症のアルコール性急性膵炎を発症し、保存的加療で改善したが、5月に再燃。発熱と腹痛が増悪し、血液検査ではWBC 18000/μL、CRP 25mg/dL、AMY 568IU/Lと上昇が認められた。腹部CTで膵周囲に径80mmの内部不均一で一部にairを伴う嚢胞性病変が出現しWONの感染と考え治療目的で6月に当科入院となった。入院時現症では、38度台の発熱と心窩部痛を認め、血液検査でもWBC 5710/μL、CRP 6.67mg/dLと炎症反応の上昇を認めていた。WONに対して超音波内視鏡ガイド下にENBDチューブを留置し、抗生剤投与を行ったが、状態の改善が認められなかったため、第32病日にENを施行した。まず胃体上部後壁よりEUSガイド下に嚢胞腔を穿刺しガイドワイヤーを挿入。バルーンカテーテルで瘻孔を拡張しスコープを直接嚢胞腔内へ挿入した。次に腔内を洗浄後、壊死物質の除去を行った。最後にEBD、ENBDチューブを留置し、ENBDチューブより生理食塩水で嚢胞腔内を連日還流した。術後は合併症なく、症状の消失と第35病日の腹部CTで嚢胞の著明な縮小を認めた。またEN時の嚢胞内造影にて、膵管の交通を認めたため、第37病日に経乳頭的に5Fr5cmの膵管ステントを留置した。その後、経過良好のため第67病日に退院となった。【考察】ENはWONに対して治癒率75%、合併症率が33%と他の治療法と比べて有効性が高く合併症も少ないとされる。今回、我々は保存的加療、ドレナージのみで改善の見られなかったWON感染例に対してENが奏功した症例を経験したので報告する。
索引用語 endoscopic necrosectomy, walled-off necrosis