セッション情報 | Freshman Session(卒後2年迄) |
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タイトル | F2-02:ソラフェニブによる有害事象を適切に対処することによりCRが得られた肝細胞癌の一例 |
演者 | 岩破 敏郎(京都市立病院 消化器内科) |
共同演者 | 高井 孝治(京都市立病院 消化器内科), 水野 直樹(京都市立病院 消化器内科), 川本 雄規(京都市立病院 消化器内科), 岡本 直樹(京都市立病院 消化器内科), 宮川 昌巳(京都市立病院 消化器内科), 元好 貴之(京都市立病院 消化器内科), 西方 誠(京都市立病院 消化器内科), 山下 靖英(京都市立病院 消化器内科), 桐島 寿彦(京都市立病院 消化器内科), 吉波 尚美(京都市立病院 消化器内科), 新谷 弘幸(京都市立病院 消化器内科), 伊藤 義人(京都府立医科大学) |
抄録 | 【症例】70歳代男性 【主訴】特記事項なし 【現病歴】2011年12月に肺炎のため当院呼吸器内科で入院加療が行われ軽快した。肺野精査のための胸部CTにて、肝右葉に巨大腫瘤を認め当院紹介となった。造影CTと造影MRIにて肝右葉後区域に9cm大、S4に1cm大の肝細胞癌を認めた。2012年2月にTACEを施行したが、局所再発と新規病変を認め、6月と9月TACEを追加した。しかしTACE不応で副腎転移も出現したため10月よりソラフェニブ投与を開始した。 【経過】ソラフェニブ800mg/日にて開始したが、体幹にGrade3の皮疹(CTCAE version4.0)が出現したため11月に休薬した。皮疹が改善した後、12月にソラフェニブを200mg/日で再開したが、他にGrade3以上の有害事象出現しなかったため、ソラフェニブを400mg/日に増量した。しかし2月AFP 7797ng/dl、PIVKA-II 53700 MAU/ml と更に上昇した。3月の造影CTではmRECISTにてSDであったが、AFP 7479ng/dl、PIVKA-II 7010 MAU/mlと低下を認めた。4月腰背部に皮疹が出現し手足症候群を認めたため、ソラフェニブを1週間休薬し、400mgの隔日投与で再開した。5月の造影CTでは、肝内の腫瘍と副腎転移は著明に縮小し、AFP 279ng/dl、PIVKA-II 23 MAU/mlと低下した。7月の造影CTでは早期濃染は消失しmRECISTではCRであり、またAFP 7ng/dl、PIVKA-II 13 MAU/mlと基準値内に改善した。以降ソラフェニブの休薬を要する有害事象を認めず、mRECISTではCRを維持し、腫瘍マーカーも基準値内である。 【考察】TACE不応例に対してソラフェニブを開始し、腫瘍マーカーが4ヵ月にわたり上昇し続けたものの、出現した有害事象に適切に対処しソラフェニブ投与量を調整することでmRECISTにてCRとなった。ソラフェニブにてCRとなった症例は稀であり、文献的考察を踏まえ報告する。 |
索引用語 | ソラフェニブ, 肝細胞癌 |